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Blue Rose
第二十話 小さくなる身体その十四

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「自分にね、そしてそうした状況にいる人がいたら」
「逃げられる様にですね」
「手を差し伸べるんだ」
「児童虐待ですか」
「そう、親に殺される子がいるけれど」
「逃げられる様にですね」
「しないとね」
「わかりました」
 その言葉にだ、優花も頷いた。
「僕もそうします」
「自分でどうにか出来ない人は手を差し伸べるんだよ」
「そうします」
「わかりました、そうします」
「そういうことでね、それと」
 また言った岡島だった。
「次はね」
「そのグラバー園にですね」
「行こうね、あそこにね」
「グラバーさんも住んでおられたんですね」
「そう、実際にね」
「凄くいいところに住んでおられたんですね」
 そのグラバーのことをだ、優花は思った。
「景色がよくて」
「そうだね、けれどね」
「けれど?」
「ここに住むって大変だよ」
「あっ、確かに」
 言われてだ、優花も気付いた。その気付いたことはというと。
「ここ坂ですからね」
「そう、ここに来るまでも結構大変だったしね」
「住むにあたってもですね」
「ここ自体が坂だね」
「そうしたところだから」
「そう、普通にね」
 住むとなると、というのだ。
「大変だよ」
「特に足腰が悪いと」
 二人で三浦環の像の前から離れグラバー園に向かう、そこに行くまでも実際に坂道であり優花は登りつつ思った。
「これは大変ですね」
「そう、バリアフリーを考えたら」 
 医師だからこそだ、岡島はこのことからもグラバー園のことを考えて優花に話した。
「ここに住むのは大変だよ」
「そうですね」
「ちょっとやそっとでは住める場所じゃないよ」
「ですね、あと」
 優花はグラバー園、上にあるその方を見つつ言った。
「長崎自体が」
「足腰が悪いと、っていうんだね」
「はい、移動が大変ですよね」
「坂道が多いからね、それに道も入り組んでて」
「大きい道も小さい道も」
「だからね」
 それが為とだ、岡島も言う。
「ここは足腰が悪いと大変だよ」
「バリアフリーもね」
「そうした場所ですね」
「景色はいいけれどね」
 それでもというのだ。
「住むとしたらそのことが大変だよ」
「いいことばかりでもないですね」
「自転車で走るにしても」
 笑ってだ、岡島はこの場合についても話した。グラバー園の独特の当時の日本の家屋とは全く違う造りの洋館が見えてきた。
「長崎は大変だからね」
「アップダウンばかりですね」
「そう、だからね」
「自転車でもそうなんですね」
「バイクでも大変だよ」
 とかく移動には苦労する街だというのだ、話す二人にしてもだ。
 グラバー園、池を挟んでいるそこまで来てだった。
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