暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
圏内事件〜聞き込み編〜
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まだ手口が広まる直前だわ。宿代を節約するために、ドアロックできない公共スペースで寝る人も少なくなかった頃よ」

「前線近は宿代も高いしな。ただ……偶然とは考えにくいな。リーダーさんを狙ったのは、指輪のことを知っていたプレイヤー………つまり…………」

「ギルメンの誰か……」

瞑目したヨルコが、こくりと頭を動かした。

「ギルド【黄金林檎】の残り七人………の誰か。私たちも、当然そう考えました。ただ……その時間に、誰がどこにいたのかを遡って調べる方法はありませんから…皆が皆を疑う状況の中、ギルドが崩壊するまでそう長い時間はかかりませんでした」

再び、長い沈黙がテーブル上を這った。

───嫌な話だ、とても。

───同時に、あり得ることだ。充分に。

沈鬱な表情で俯く年上の女性に、レンはどうしても聞きたかったことを聞いた。

「ねぇ、ヨルコねーちゃん。そのレア指輪の売却に反対した三人の名前は?」

更に数秒間黙り続けてから、ヨルコは意を決したように顔を上げ、はっきりと答えた。

「カインズ、シュミット…………そして、私です」

やや意外な回答で、目を丸くしたレンに向かって、ヨルコはかすかに自嘲の滲む言葉を続けた。

「私は当時、カインズと付き合い始めてたんです。ギルド解散と同時に自然消滅しちゃいましたけど、あの時はギルド全体のことより、彼氏への気兼ねを優先しちゃったんです。バカですよね」

「…………………………えと、なんかゴメン」

さすがに決まり悪くなって謝ったレンに対し、ヨルコは再び短くかぶりを振る。

「いえ、いいんです。それで……グリムロックですけど………彼は【黄金林檎】のサブリーダーだったんです。そして同時に、ギルドリーダーの《旦那さん》でもありました。もちろんSAOでの、ですけど」

「え………、リーダーさんは、女の人だったのか?」

「ええ。とっても強い……と言ってもあくまで中層レベルでの話ですけど……強い片手剣士で、美人で、頭もよくて……私はすごく憧れてました。だから……今でも信じられないんです。あのリーダーが、《睡眠PK》なんて粗雑な手段で殺されちゃうなんて……」

「…………じゃあ、グリムロックさんもショックだったでしょうね。結婚までするほど好きだった相手が…………」

アスナの呟きに、ヨルコはぶるっと身体を震わせた。

「はい。それまでは、いつもニコニコしてる優しい鍛治屋さんだったんですけど………事件直後からは、とっても荒んだ感じになっちゃって……ギルド解散後は誰とも連絡取らなくなって、今はもうどこにいるかも判らないです…………」

レン達は、ヨルコをもとの宿屋に送り届けたあと、数日分の食料アイテムを渡して絶対に部屋から出ないよう言い含め、宿屋を後
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