第十二幕その四
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「それなら」
「ええ、若しあの子がまだ寝ていたら」
「その時はですね」
「起こしてあげましょう」
「はい、そうしましょう」
他の皆も降りてです、ドラゴンにここまで運んでくれたお礼を言いました。そして王様はドラゴンに尋ねました。
「では御前さんはグリンダさんのところに帰るのじゃな」
「いえ、ここで待っています」
ドラゴンは王様にすぐに答えました。
「寝て」
「帰らんのか」
「皆さんはお国に帰られますね」
「うむ、ボタンを迎えたらな」
「遅くとも夕方には」
「そのつもりじゃ」
「それならです」
ドラゴンは王様に穏やかな声で答えるのでした。
「ここで寝てです」
「待っていてくれるのじゃな」
「行きだけでなく帰りも皆さんをお送りせよとです」
「グリンダさんにも言われておるのか」
「はい、ですから」
「そうか、悪いのう」
「いえいえ、私もこれから気持ちよく寝ますので」
待っている間はというのです。
「お気になさらずに」
「そう言ってくれるか」
「はい、では」
「うむ、待っていてくれるか」
「寝てそうしています」
ドラゴンはにこやかに笑ってでした、そのうえで。
その場で蹲ってとぐろを巻いて眠りに入りました、皆はそのドラゴンに一時の別れの言葉を告げてでした。
そのうえで狐の国の門まで来ました、とはいっても振り向けばすぐそこが門でした。
門には軍服を着た狐の門番がいます、王様がその兵隊さんに声をかけました。
「ちょっとお邪魔しに来たが」
「あっ、どうも」
兵隊さんは王様に敬礼をして応えました。
「今日もこちらの王様と遊びに来られたのですね」
「ほっほっほ、また違う」
「と、いいますと」
「ここにボタン=ブライトが来ておってな」
「ああ、あの子またここに来てるんですね」
「この門を潜ってはおらんな」
「若しこの門に来れば」
兵隊さんは王様に胸を張って答えました。
「私がいますので」
「すぐにわかるな」
「はい」
こう王様に答えるのでした。
「左様です」
「では寝ていて」
「中に移動していたのでしょう」
それで彼が狐の国にいるというのです。
「いつも通り」
「やはりそうじゃな」
「あの子については」
狐の兵隊さんもです、お国の門をしっかりと守っている。
「少し以上にです」
「どうにもならんな」
「どうしようもありません」
苦笑いを浮かべてです、王様にお話します。
「私もです」
「そうじゃな、ではな」
「これからですね」
「貴国に入らせてもらってじゃ」
そのうえでというのです。
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