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第四十八話 第三次ティアマト会戦に向けて、準備です!
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な見解に二人は目を見開いた。
「功績者として手柄を立てさせたいか、あるいは生贄とするのか、若しくは戦場で殺させようというのか、こうしてみてみると、全く真逆の可能性が並列されているのは、面白い事ですわね」
シャロンが微笑する。
「その対象になるのは御免こうむりたいですがね。誰がどんな意図をもっているのかはわかりませんが、私が望んでいることは、そう言った特定の者の意志に一般の兵士たちが引きずられ、巻き込まれることがないように、ということです」
ここでシャロンはヤンに対し、一つの疑問を口にすることとした。かねてから聞いてみたいとシャロン自身が思っていた事であった。
「では、ヤン准将。あなたは同盟と帝国が繰り広げてきた150年間の戦争とやらをどう思いますか?あれらについても、上層部の思惑、駆け引きが無数にちりばめられている歴史ですけれど」
ヤンは紅茶のカップをぐっと傾け、と息を吐いた。
「私に対しては敬語でなくてもいいと申し上げたのですが」
「私が好きで話しているのですから、そうさせてください」
ヤンはやれやれというように肩をすくめたが、
「先ほどの質問については『おっしゃるとおりです』という回答しか出せませんね。土台戦争というものは、利害、利権、感情そう言った要素をはらんでいますし、そもそもこれらの要素が複雑に絡み合って発生するのですから。私もそれは否定できません。ですが、だからといって第三者の眼で当然のことと達観し続ける無作法な神経も、私にはないですし、かといって表立ってそれをとめに行こうとするエネルギーと義務心も私は持ち合わせていないですがね」
「昼寝と紅茶と酒と歴史書読を日課とするお前さんの口から出る言葉とも思えんがな」
キャゼルヌ少将が少し困惑の混じった苦笑いを浮かべている。
「ヤン准将の人間性とやらが垣間見える発言ですわ。ご参考になりました」
シャロンが微笑んだ。イルーナらを殺すために転生してきているとはいえ、せっかく自由惑星同盟に、それもヤン・ウェンリーのそばに来ているのだから、彼の心情の一端を垣間見たいというのはシャロンの正直な思いでもあった。こうしてみると人間というのがいかに矛盾、複雑な深層心理をもつ生き物かがよくわかるだろう。
今回の第三次ティアマト会戦の帰結について、シャロンとしても結論は出てこなかった。原作の知識があると言っても、だいぶかい離している(第6次イゼルローン攻防戦もおこなわれていない。)この世界で、果たして第三次ティアマト会戦がどう決するのか、そしてそれが帝国同盟それぞれにどう影響をもたらすか、この時点ではシャロン、そしてそれに参加しているイルーナら転生者もわからなかったのである。
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