105話 憐憫2
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張られた。
それでもつんのめったのは仕方が無い。俺がキマってない訳では無い。いつものことだからだ。
「あっちの原っぱがいいかなぁ。終わったらピクニックにしようね!」
ピクニック。一に戦闘、二に戦闘、三に戦闘、四に戦闘なトウカの口からそんな言葉が出るなんて……感動した。これは脈があるんじゃないか。家庭的なことに誘われたという事は。というか、トウカが女らしい姿で俺と笑っているという事は……。これは夢なんじゃないか?
「手合わせ!えへへ、今までエルトとばっかりだったからククールとやるのは新鮮!ククールはレイピアを使ってくれてもいいけど念のために私は素手でやるからね!」
……知ってたからな、畜生。夢の中でも夢を見れないなんて俺は……でもさっき見た夢では確かに食卓を囲んでいたんだが……?スライススライムの。
ワンピースにサンダルの軽装で、見慣れた構えをとる姿。ノックアウト物理の数秒前。俺はなんとか夢から離脱することに成功する、のだが。夢から覚める寸前にとろけるほどの笑顔でトウカが言おうとしたことを聞き逃したのは、激しい失態だった。
的確に鳩尾を狙われたのだから、判断は決して間違っていなかったと信じたい、が。ベホマで傷やダメージは治ってもがんがん響く痛みまでは取り除けない、だろ。
「ねぇ、ククール!私ね、君を……」
・・・・
「守るから!」
朝。僕はトウカの声で起きた。何、守ってあげたいって。結構な大声だったけど……え、寝てるし。寝言なの?夢の中でもみんなを守ってるのか……面目丸潰れだけど、いつも前線でありがとうね。
と、ククールも今ので起きたのか飛び起きる。え、こっちは何なの。汗びっしょりって、ヌーク草効きすぎじゃない?
「……おはようククール」
「あぁ……」
「魘されてたの?大丈夫?」
「……悪夢ではなかったから気にするな」
ならいいんだけど。なんかククールって現実主義の癖に夢の内容に執着してそうって思うのは偏見かなぁ。
トーポに朝のチーズをあげながら、綺麗な銀髪を纏めて結ぶククールをじっと見る。うーん……本人の自負も納得のイケメンって奴だよね、羨ましい。背も高いし……身長くれないかな……。
「なんだジロジロ見て」
「別に……」
でも本人に言ってやる事は何もないね。高身長のイケメンはある種の敵だよ。しがない僻みはさておき僕も着替えようかな……女の子二人が起きないうちに。うち一人はその扱いをされたくなさそうにしても。
「……おっはようー!」
で、なんで上着脱いだ瞬間にトウカはガバッと起き上がるのかな。気遣いが台無しになってしまった。まぁいまさらなんだけどね。トウカのことをずっと男だと思ってたから上半身裸で剣の稽古をしてたことも
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