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約1つのラベルと心臓
第n+2話 灰色のコウモリはトレーニングを欠かさない
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美都子に誘われるまま、真っ白な人混みの中を歩いていた。飲食店の立ち並ぶ所を見ると、夏雄はそういえば小腹がすいているかもしれないと思うようになった。
「んー、悪い。なんか適当なの買ってきてくれ」
「いいわよ。自分で選ぶ?それとも私が買ってこよっか?」
「あー」
「あの『深淵の闇よりいでし幻惑のパスタ』ってやつ夏雄君に合いそうね?」
「俺が選ぶ」
「あら気に入らなかった?夏雄君、わけ分かんないこと言って人を煙に巻いたり長いものを風呂敷に巻いたり雑草に枯れ葉剤を撒いたりするの好きそうだと思ってたけど」
「お前には絶対言われたくないな」
「私の言うことなんて分かりやすいじゃない?単純で単調でお願いですから、ふすまを絶滅危惧種にして下さいって感じの」
「まっったくわけ分かんねぇよ」
「じゃあ普通のホワイトソースかけた饂飩でいい?」
「普通じゃねぇだろ」
「昼市では普通なのよ。もしここで夏雄君が店主の顔にジャパニーズきつねうどんをぶちまけたら出禁になるぐらいはね」
「きつねうどん関係ねぇ」
「まぁ饂飩以外にも色々あるけど、ここで食べられるのは大体真っ白なものね。シーザードレッシングとかタルタルソースとか白ペンキとか」
「最後食い物じゃねぇな」
 ざっと見て回ったが、ある程度食べるとなるとやはり主食が欲しく、それに絞った結果やはり先程の饂飩にしようということになった。美都子もそれにするらしい。
 饂飩屋の用意したテントに、2つの饂飩の器が並んだ。流石に形と色合いが違いすぎて、保護色にはならない。
「いただきます」
「いただきます」
 2人は手を合わせると、饂飩にとりかかった。その間も、夏雄への好奇の視線が厳しい。
「夏雄君人気者ねー」
 美都子がにやにやしている
「なりたかねぇけどな」
「饂飩食べてるだけでみんなに二度見されてるから私としては凄く楽しいわよ」
「そりゃどーも」
 夏雄は饂飩をすすったが、その時に汁が跳ねて黒い服に白い水玉が出来てしまった。
「あらいいじゃない。白ファッションよ」
「んなファッションあるかよ」
「自分を誇り、それでいて奢りもせず、『これは白だ』って言えば、きっと認めてくれるわよ」
「誰がだよ?」
「それは私も気になってたわ」
「いやお前のことだろうが」
「うー?ホントに、私の事かなー?」
「いやお前のことだよ」
「ところで青は藍より出でて藍より青しって私好きなのよね」
「いきなりどうした」
「そりゃ青が青いに決まってるじゃないって小学生の頃爆笑してたわ」
「まぁそうだな」
「でも、要はそれが大事なのよねってことで溜飲を下げてるわ」
「何がだよ」
「それにしても饂飩が真っ白なのはいいわね。店主が楽しそうに真っ白スープの吟味をしていると思うと羨ましいわ。きっとペンキ
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