第25話『乱戦』
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いなかったのだ。
つまり今この時、伸太郎の重度なコミュ障が発動していたのである。
「え? だ、だから…」
「ゴチャゴチャうっせーな!」
そんなことに気づかない伸太郎に、遂に1人の拳が襲い掛かった。
咄嗟に避けようとするも後ろは壁。逃げ場なんてない。屈むにしても、上から殴ってきているので無意味。伸太郎は万事休すだと悟った。
アレの存在を思い出すまでは。
「あ、そうだ」
「「眩しっ!?」」
伸太郎は魔術を使って、自分を光源として目映い光を放ち、相手の目を眩ませた。すると、彼らは目を必死に抑え、悶絶する。
実は先程まで、脱出の糸口を探すことに夢中になっており、伸太郎は魔術の存在をすっかり忘れてしまっていたのだ。
「「うわ!目が!目がぁ〜!!」」
光を直視したため、叫びながら悶える4人。
それを見て伸太郎は「哀れだな」と一言思い、彼が目覚めるまでに全員の手首に拘束テープを結んだ。
「こ、これで良いんだよな?」
全員が地べたに這いつくばっている様子を見た伸太郎は、とりあえず離れようと考え、その場から立ち去った。
*
「馬鹿な連中ね」
一方緋翼は、先程から自分に襲い掛かってくる男子たちを蹴散らしている所だった。
見下ろすと、ボコボコにされて気絶している無様な男子5名が転がっていた。
「数で挑んだって私には勝てないわよ。女子だからってナメないでね」
緋翼は手をヒラヒラとさせながら、独りでに言った。だがそれを聞いている者はいない。
「はぁ〜思ったより退屈ね。まぁ去年よりはマシだけど」
彼女は小さい背丈で目一杯伸びをして、再び廊下を進み始めた。
*
「こんなことって有るんだな…」
その頃晴登は、ある廊下で偶然出会った人物に驚愕していた。
きっと、余程の実力が有ったから彼はここに居るのだろう。
「驚いたか?」
晴登の目の前に立つ彼は、晴登に訊いた。
その表情には笑顔と期待が混じっている。
「もちろん。まさかここで会うなんてな」
晴登はそう返す。
その表情からもまた、今からの戦闘に興奮しているという感じが滲み出ていた。
「互いに全力で・・・」
「正々堂々闘おうぜ!」
青いユニフォームを身に纏い、サッカーボールを片手に持つ彼こと『鳴守大地』は、晴登に向かって「キックオフだ」と一言放ち、ボールを地面に置いた。
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