第25話『乱戦』
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、気配で丸わかりなんだよ。さて、ハシゴ…ってことは演劇部ってとこか? てか俺今これで殴られそうになったの? 怖っ」
終夜は、自身の雷によって気絶した彼をそう解析した。
「よし、今ので10万ゲットだな。部活動はたくさんあるから…上手くいけば1000万は稼げる訳か」
計算がかなり大雑把であるが、そんなことを気にも留めない彼は「やってやる!」と意気込んだ。
*
「私ってどこかに隠れた方が良いのかしら…」
そう言いながら、緋翼はとある教室の教卓の下に入り込む。ずばり、己の小柄な体型を利用した奇襲作戦である。
「いやいや、どうして自分で自分のコンプレックス刺激しなきゃいけないのよ。やっぱり嫌、こんなとこ早く出よ──」
ガラッ
「!?」
突如として鳴ったのはドアが開かれた音。そして教室に響く足音。
緋翼は誰かが入ってきたと察して、出ようとしていたのを止める。
「誰も…いないよね?」
声からして、入ってきたのは女子のようだ。しかも少し怯えている。
今からこんなか弱そうな子を奇襲すると考えると少々気が咎めるが、これは勝負。緋翼は思い切り教卓の下から飛び出した。
「覚悟!!」
「ひぃっ!?」
*
「誰もいないのはちょっと怖いな…。てか、ホントに人に向かって魔術使っていいのか?」
見渡す限り、周りには誰も居ない。
自問自答をしていた晴登は安堵の息を溢す。
自身が1年生であるにも拘らず、魔術部代表という立場で出てしまっているのが、嬉しいような恥ずかしいような…。
しかし、他の部活は恐らく3年生ばかり。肉弾戦で勝つことはまず有り得ない。よって部活の道具とも言える魔術に頼らざるを得ないのだ。
「バレないように使うんだぞ、俺」
自分自身にそう言い聞かせているその様子は、不安を隠し切れていない。
晴登は再度周りを見渡し、「案外出会わないな」と考えつつ、歩みを進めた。
*
「やっと見つけたぞ、終夜」
「はっ、バットごときで俺に勝てるとでも?」
その頃、終夜はまたも敵と交戦していた。
相手は同じクラスの野球部の男子。ヘルメットにユニフォームにバットにボール・・・どこからどう見ても野球部の格好であり、さすがの重装備であった。
「バットで殴れば一発ってことよ」
「おっかねぇな。でも、マジックナメんなよ?」
「いや無理無理」
ここで終夜が“マジック”と言ったのには訳がある。
実は晴登だけでなく、魔術部の誰一人として魔術のことを周りの人に話すことはしていない。だから周りは魔術なんぞ露知らず、ただのマジック部
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