第一部:ゲート 開けり
プロローグ 2 とある帝国軍団の壊滅
[4/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
のは脳筋な生物なので、基本的には突撃の勢いを活かして突貫してくるのが普通だが、奴らはそのような行動を取らずに敵を前にして整列して待機するなど、
ファルマート大陸で暮らす人類や亜人が知っている従来のオークに対する常識的にはあり得ない行動を取ったからだ。
そんな予想外の行動を取る奴らに帝国軍将兵は驚くと同時に、先ほど放った偵察部隊が誰一人として帰ってこないことに疑問を持ち、もしかして不味い事態が起きているのではないか?と危惧する将校も徐々に増えていた。偵察部隊は貴重な情報を得て持って帰ることを第一の任務としているので、
例え襲われても必ず数人は何とか逃げ延びて戦闘開始前には戻るよう十分鍛えられているから、既に帰還していて当然の筈だった。
しかし、現にこうして誰も帰ってこない。もしかして補足されて逃げることが出来ずに皆殺しにされたのではないか?
つまりそれが意味するところは、オーク以外の部隊がもう既に今の所まだ遠くに居るのだが近くに隠れ潜んでいるのか?
それとも馬に乗って移動し上手く自然に隠れる偵察部隊を発見し、仕留めることが出来るほどの化け物が居るのか?etc……。とにかく情報が少ないので様々な憶測を呼び、次第に将校たちは今までのとは違う今回の敵に焦りを覚え、不気味に思えてきた。
その間にもどんどんオークの部隊に後続の同じ同胞たちの部隊やトロルの部隊が合流し、続々と層が厚くなっていく。
それを見た帝国軍は2つの選択を急かされる事となった。一つは数の差で不利になって来たのでこのまま戦わずに退却し、安全な防衛拠点に立て籠もる選択だ。
「攻撃三倍の法則というのが存在する。
これは戦闘において有効な攻撃を行うためには相手の三倍の兵力が必要となる、
とする考え方である。戦理的に見て防御は攻撃よりも有効な戦闘行動であり、
攻撃三倍の法則は防者の優位を明らかに示している。
なぜなら攻撃は敵部隊の戦闘力の撃破に主眼が置かれるが、
一方でその方式にもよるが防御とは敵部隊の攻撃を破砕するだけで足りるからである。この法則は普仏戦争から第一次世界大戦におけるドイツ陸軍の研究によって、第一次世界大戦の英国公刊戦史などで経験的に論じられるようになった。
この法則にしたがえば、純粋な戦闘員なら約1万人ほどの帝国軍が立て籠もる拠点を陥落させるためには、敵は約3万人の軍勢を必要とする。
だが、現在敵はオークが約3万にトロルが約2500体と、人間換算すれば総勢12万もの大軍勢となっている。つまり、圧倒的に帝国軍が不利であることを証明している。しかも、救援のために増援が来る可能性は伝令を送らない限り全く無いので、退却して籠ることはナンセンスだ。
もう一つの選択肢は、このまま踏み止まって戦う事だ。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ