第百十四話
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インを止める必要がある。レインが日本刀《銀ノ月》を折りにくるのならば、俺が折りにいくのはレインの心だ。こんなことをしてもまるで意味はないと、レインの心を摘んで折るための戦い。
「……私はそれを望んでる!」
そんなことは彼女も分かっているのだろうが、自分で自分を止めることは出来ずに。こちらが日本刀《銀ノ月》を構えて翼を展開していると、気合いの込められた叫びとともに、レインのOSSが再び発動される。レプラコーン専用の魔法のエフェクトが発せられ、中空にソードスキルを伴った刀剣が発生し、こちらを目掛けて発射される――
「ッ!?」
――ことはなかった。レインのOSSは刀剣を展開させた後、レイン自らがどこに発射するかを瞬時に決定しているようだが、そこが隙となった。
……日本刀《銀ノ月》に装着されている、属性を付与するアタッチメント――土属性を付与するソレは、刀身が土属性となるだけではなく、《砂塵》を周囲に展開する副次効果を持つ。
つまり、レインがOSSを展開させたその一瞬、砂をレインの目に入らせて行動を中断させたのだ。視界が暗闇に包まれたレインは、一瞬だけ完全なる隙を晒し――その一瞬はこちらにとっては充分な隙だった。
「せやっ!」
こちらの狙いが分かったのか、周囲の刀剣たちが一斉に発射されていくものの、レインの視界が封じられているために狙いはない。それならば避けるのも容易く、裂帛の気合いとともに俺はレインの元に踏み込むと、勢いを込めた抜刀術により、レインのソードブレイカー二刀を根本から断ち斬った。
「このっ……!」
「遅い!」
砂に襲われた目を薄く開けたレインは、再びOSSを発動しようとしたものの、こちらの行動の方が幾分か早い。膝の辺りにローキックを喰らわせると、体重の軽いレインは足払いを喰らったように宙に浮かぶ。反射的に展開された翼を日本刀《銀ノ月》で斬り落とすと、残った片腕でレインの首根っこを掴んだ。
「頭、冷やして来い」
それだけ耳元で呟くと、ジタバタと抵抗するレインを無理やり投げつけた。投げ込んだ先にあるのは、底に川が見える切り立った崖であり、レインはそこに吸い込まれるように落ちていく。もちろん翼を斬り裂かれたレインには、底の川までノンストップだが……そこまで落下することはないだろう。
「お前、悪役とか似合わないだろ」
「……じゃあ、どうすればいいの?」
ふとしたその呟きに、レインが落下していった崖から返答がきた。天空に昇っていく刀剣と、それに掴まって飛翔の真似事をしているレインからだ。そのままレインは「よっと」というかけ声で崖に復帰すると、俺の横に立ち尽くした。
「何もしなくていいんじゃないか?」
「え?」
しばし崖からの自由落下
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