第百十四話
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こちらと同様に翼を展開していたレインが、そのソードブレイカー二刀を構えて飛翔してきていた。そのまま柄にしまわれたままの日本刀《銀ノ月》を誘うように、俺の肩口にソードブレイカーの刃が迫る――が、その攻撃を日本刀《銀ノ月》で受け止める訳にはいかず、二刀の側面から蹴りつけて軌道をズラす。
「それは出来ない」
そのまま日本刀《銀ノ月》を抜刀術の要領で抜こうとするものの、俺の目の前にはレインの剣が現れていた。このレインの周辺は言わば台風の中心部近く――レインという台風の目を除いては、いついかなる時も嵐が、剣が吹き荒れている。
その目の前に現れては即座に接近してきた剣を、全力で首を傾げることで回避しながら、迂闊に接近する方が危険だと後退する。翼をはためかせて後退した瞬間、それを追うように弾丸のような剣が迫り来たが、それらは日本刀《銀ノ月》による抜刀術で中ほどから斬り裂かれた。
「剣、抜いたね。ショウキくん!」
耳に届く彼女の声。そして迫っていた剣は囮と撒き餌、ついでにレインの姿を隠すための隠れ蓑だったと気づく。気がつかぬうちに接近していたレインが、日本刀《銀ノ月》にソードブレイカー二刀を叩きつけるより早く、日本刀《銀ノ月》を空に放り投げた。
「えっ!? ――うわっ!」
レインがそちらに気を取られた瞬間、可能な限り早口で唱えた呪文によって発せられた、風の魔法によって俺とレインは揃って吹き飛んだ。大地に着地しながら、吹き飛んだ地点に落下してきた日本刀《銀ノ月》を拾って鞘に収める。レインは空中で態勢を整えたらしく、こちらがレインを見上げるような形となった。
「ねぇ。私たちの問題に立ち入る資格も気もないなら、どうするの?」
そして距離が置かれたことから戦いが小休止したのか、ため息を吐きながらレインはそう問いかけてきた。この戦いはただのデュエルとは違い、レインの勝利条件は俺の持つ日本刀《銀ノ月》を破壊することで、俺の勝利条件は――
「友達を助ける」
――レインをこれ以上、妹に顔見せが出来ないような姉にする前に止めることだ。レインは自分で気づいていない。妹を裏で手助けをするほど、自分は立派な妹に顔向けが出来なくなる、ということを。
「友達って……ユウキちゃん?」
「もちろん。レインも含めて」
こちらの返答に眉をひそめながら着地する彼女とは、まだまだ短い付き合いであるが、それくらいの人柄は感じられる。裏で自分なりに汚いことをすればするほど、レインはレイン自身を許せなくなってしまう、生真面目で優しい性格ということを。
「こんなことを俺以外にすれば、後戻り出来なくなる。だから友達として止める」
これ以上レインが自分を許せなくなるような、そんな出来事を起こさせないために、ここでレ
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