第百十四話
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っていないかもしれないが、レインはそんなことは出来ない。
様々な剣を集めたいから、という理由でレプラコーンになったと以前に聞いた。そして彼女にとっても大切な剣は、持ち主にとっては物以上に相棒だ。その相棒を破壊する行為とは、少しだけでも共に遊んだ友人を裏切る行為と、他でもない彼女が一番分かっている。レインは残念ながら、それらを何とも思わないような人間ではない。
「……っ!」
それでもセブンの――妹のためだと言い聞かせるように、遂にこちらに踏み込んでくる。その二刀を活かした別方向からの同時の一撃だったが、迷いからかその攻撃はかなり遅く。あっさりとその一撃を見切ると、得意とする抜刀術で二刀を防ぎながら、腹部に蹴りを入れてレインの身体を遠くへ吹き飛ばした。
「わ……!?」
吹き飛んだレインが着地して体勢を整えた瞬間、高速移動術《縮地》にてその後ろに既に回り込み、日本刀《銀ノ月》の白銀の刀身をレインの首筋にそっと置く。……彼女が本調子であれば、恐らくこうも簡単にはいかなかっただろうが、それほどまでにレインの動きは迷いで単調だった。
「迷ってるなら……こんなことも、セブンに嘘をつき続けることも……」
「――ううん。あのセブンに相応しいようなお姉ちゃんになるまで、止められない……!」
トップアイドルにして有名なVR研究家であり、天才的な頭脳を持つセブンの姉に相応しい人物になるまで、自分は妹に正体を明かせない。そのあの日にも聞いた決意を再び聞いた俺は、やむなくレインの首筋に日本刀《銀ノ月》を突き刺そうとした瞬間――俺は見た。
レインの身体を斬り裂かんとする俺を狙う、幾つもの剣の姿を。
「――――ッ!」
レインへの一撃より回避を優先し、急遽飛び退くことで何とかその刃の洗礼から逃れた――逆を言えば、一瞬でも遅ければ、突如として中空に出現した刃に全身を突き刺されていた。
「まさか……」
出現した剣がひとりでに敵へ発射される技など、聞いたこともなく――考えられることはただ一つ。あのキャリバー入手クエストの最中、ユウキだけが見たというレインのOSS――
「ありがとショウキくん。今の蹴りで目が覚めた」
ゆっくりとレインが起き上がる。それと同時にレインの周囲に、様々な剣や槍や斧――数え切れない武具が展開されていき、それらは全て、こちらを斬り裂かんと狙いを定めていた。しかしその展開には見慣れたエフェクトも混じっており、ただのOSSという訳ではなくレプラコーンの専用魔法との合わせ技。
「私は何を犠牲にしても、セブンの為になることをしてあげたい」
しかしてそんな細かな分析は、レインの決意を込めた眼光の前には意味をなさなくなる。今度こそ全力だろうレインに、日本刀《銀ノ月》を柄に
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