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SAO−銀ノ月−
第百十四話
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は残っているだろう。

「ああ、頑張れよ」

 それでも。無責任にそんなことが言える程度には、ユウキなら大丈夫だろうという感情が浮かんでくる笑顔だった。

「あ、そういえば。ショウキとのさ、デュエルの決着もつけないとね」

「え?」

 そうユウキに言われて、しばしの時間をかけて彼女の言わんとしていることを思いだした。確かあの年末のキャリバークエストにおいて、お互いにOSSを完成させたユウキと、一撃決着モードでデュエルすることとなったのだ。結果はユウキのOSSを止めようと、一撃決着モードというのを忘れた俺が、ユウキの剣を片腕を犠牲に止めたところで決着した――もちろん俺の敗北な上に、こちらのOSSを出し損ねたという結果に、ユウキはいたくご立腹であった。

「あー……今度な」

「忘れてたでしょ!」

 それからセブンに出会ったりキャリバー入手クエストに行ったり、年が明けたりといった中で、すっかり忘れてしまっていた。不満そうな表情を隠さないユウキに、今はフロアボスの攻略に忙しいから――と、最もなことを言って煙に巻くことにする。

「今度だからね? 約束だよ?」

「ああ、約束は守るって。それより……そろそろ時間だからな。早く行かないと」

「あっ、そっか……」

 これからルクスとPK集団の件の説明会だ。ユウキはルクスとシャムロックに、俺はクラインとサラマンダーの領だ。リズベット武具店出張所をNPCと任せて、俺はユウキと揃って店外へと締め出されるように外に出た。とはいえ目的地が別なので、ここで別れることとなるのだが、その前にユウキは真剣な面もちで話しかけてきていた。

「……セブンとレインの問題。ずっとどうやって解決すればいいか、考えてた。だけど、答なんて出なくてさ」

「…………」

 それは俺も同様のことだった。レインとセブン、あの姉妹のことは、第三者が手を出していい問題ではないと。

「でも、ひとまず正面からぶつかってみる! ……考えれば、当たり前のことだったんだ」

 ……そんなユウキらしい結論を聞いて、俺たちはそれぞれ別れていった。そこで別れたが故に、それからユウキが呟いていたことを、俺は知る由もなかった。

「……全部は、言えなくて……ゴメンね……」



 ――そして現在。崖っぷちの峡谷において、赤髪の二刀使いと俺は対峙していた。両手にそれぞれ二刀を持って、日本刀《銀ノ月》の柄を持って待ち構えるこちらに対して、ジリジリと距離を詰めてくる。

「……レイン」

 ふと呟いた言葉に、彼女はピクリと反応して動きを止める。シャムロックの――いや、セブンの目的の最大の障害となりうる俺たちの武器を、フロアボス攻略戦の前もって破壊しておこうとするその行為。戦術としては間違
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