第十九話 沖ノ島攻略作戦その2
[7/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ない厳しい顔をしながら比叡たちにその顔を向けた。
「私たちも前に出ます。一人でも多い方がいいですから。山城!!」
「はい!!」
「え!?で、でも、それって防御が――。」
「ヤバいっぽくない?だって扶桑型の装甲って――」
阿賀野と夕立が声を上げていた。
「あっ!!!まずい・・・・。」
山城が口で手を覆っていた。
「え、何がまずいんですか?」
思わず紀伊が聞き返していた。
「あらあら、まずいだなんてそんなことないわよ。ねぇ・・・山城?」
山城の二の腕がぞわっと音をたてたように紀伊には聞こえた。
「え、あ、え、ええ!!」
「だって・・・・扶桑型は前世日本初の本格設計の超弩級戦艦だし、その火力は超弩級戦艦にふさわしいもの。速力が弱いとか艦橋が独特だとか防御力に致命的な欠陥があるなんていう噂は眉唾物だもの。ねぇ?山城。」
怖い。紀伊は思った。満面の笑みで恐ろしいことを言われているような気がして、とても怖い。
「あ、あの、それでしたら私も行きます・・・・って、こんなところで話している場合じゃありません!!行きましょう!!」
無理やりに話をまとめると、紀伊はすぐに走り出した。
「姉様、私も行きます!!」
讃岐も後に続き、扶桑と山城も続いた。
「許さん・・・・。」
ギリと歯をかみしめた武蔵が沖ノ島棲姫をにらみすえていた。その視界の隅に紀伊たちが接近してきたのを見た武蔵は声を張り上げた。
「扶桑!山城!」
ちょうど前線に進出してきた二人に大和を託した武蔵は水面を蹴り飛ばして進み始めた。背後で扶桑たちが何か叫んでいるようだったが、武蔵は聞く耳を持たなかった。
「待て!」
「危ないわ!!」
長門と陸奥が叫んだけれど、武蔵は突進し続けた。沖ノ島棲姫が無表情にそれを見、ついで左手を前に向けた。巨砲が炸裂し、次々と武蔵の周りに砲弾が落下、熱風と爆炎があたりを包んだ。
「貴様、貴様、貴様ぁ〜〜〜!!!!」
武蔵が咆哮した。
「よくも大和を!!!」
46センチ3連装主砲塔が狙いを付けた。
「死ねぇ〜〜〜〜!!!!!!!!!!」
轟然と巨砲が火を噴き、続けざまに沖ノ島棲姫に命中、大爆発を起こした。爆炎が立ち上り、灼熱で空気が揺らぐ中、その炎のカーテンの向こうで無数の閃光がきらめいた。
「武蔵、逃げろ!!」
長門が叫んだ直後、巨弾が武蔵を襲った。
「武蔵!!」
硝煙が消えると、武蔵はまだ立っていた。両腕で体をかばうようにして。
「効かん・・・。」
武蔵はまとわりつく硝煙を振り払うようにして叫んだ。
「そんな攻撃、蚊にさされたような物だ!!」
『マダ分ラナイカ。オロカナ艦娘ダ。』
深海棲艦は――長門たちが驚いたことに――吐息すら吐いた。
『悪ハ貴様ラダ。自分タチカラ攻撃シテ、ソノ科ヲ我々ニ擦リツケルノカ。』
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ