第十九話 沖ノ島攻略作戦その2
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も一部は航空隊の攻撃で炎上し、よろめきながら沈んでいる。一時は優勢だった敵戦力も度重なる味方航空隊の波状攻撃で鎮静化しているようだった。
「あれね・・・。」
並走していた陸奥がうなずいた。
赤い血の様な長い髪を伸ばした深海棲艦が佇んでいた。血の様な赤い瞳は他の深海棲艦にもいることながら、赤い髪というのは聞いたことがない。だが、それ以上に長門たちを驚かせたのは、顔だった。端正な顔立ちだった。目の眼光とオーラさえなければ、艦娘といってもいいくらいの人間らしい綺麗な顔だった。だが、と長門は思う。やはり深海棲艦だ。背後にうごめいている巨大な巨獣を従えている時点で深海棲艦だ。両肩に巨大な4連装砲を4基もつけたその巨獣。ぐるりと巨体をU字型に取り囲むのは艦載機を射出するための滑走路か。その巨獣と深海棲艦はチューブのようなもので結ばれていた。ふと深海棲艦の眼が正面から長門を捕えた。その刹那長門は動けなかった。威圧ではない。恐怖でもない。感じられたのは深い深い悲しみと寂しさだった。
馬鹿なと長門は打ち消した。深海棲艦ごときにそのような感情があろうはずがない。あるのは憎悪だ。この世界にはびこる人間に対する憎悪だ。私たち艦娘にたいする憎悪だ。それがなぜこうもそぐわない感情を感じてしまうのだ。私はいったいどうしたのだ。
長門、おい、長門。いったいどうした?そういわれてはっと顔を起こせば我ながら恥ずかしいほど汗が流れていた。
「長門。」
武蔵が話しかけていた。
「いいか?」
長門は無言でうなずいた。
「どんなに強力な装備でも、46センチ3連装主砲をもってすれば一撃だ。粉砕してやる!!」
武蔵が叫んだ。
「仰角+1度。誤差修正0.1!三式弾装填!!」
武蔵と大和、そして陸奥、遅れてきた近江、そして長門が一斉に砲を構えた。
「撃て!!!」
巨弾が轟音とともに打ち出され、次々と沖ノ島に落下して爆発した。
「撃て、撃て、休むなッ!!撃ちまくれ!!!」
長門は味方というより自分を叱咤するように叫び続けた。手心を加えるな。憐れみを持つな。憐憫を覚えるな。数々の、それでいて一つを意味するところの言葉を念仏のように唱え続けながら撃ち続けた。
「砲撃中止!!」
長門が右手を振った。沖ノ島全域にものすごい硝煙と炎が立ち込めている。
「奴はどうなった?流石にこれだけの量の鉄と火を叩き込まれては奴も生きてはいまいが。」
武蔵の言葉にかすかに顔をしかめながら長門は双眼鏡を取り出し、目に当てた。
硝煙が、火が、少しずつ消えていく。
長門がかすかなうめき声を漏らしたのはすぐ後だった。
「生きている・・・。」
「何?!」
「えっ!?」
「バカな!?あれで平気だというのか!?」
その時、硝煙の向こうから無数の閃光の様なものがきらめくのが見え
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