第110話
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「うむ……元々この村とは縁の薄い人物ではあるからな。『独立国』などと言われても全くピンと来ぬし……例の”幻獣”が現れたせいで農作物の収穫も落ち込んでおる。なのにたまに国防軍とやらが見回りに来る程度の対応じゃ。……ギュランドロス殿が司令だった時は彼が司令に就任した時期あたりからは警備隊の者達が頻繁に見回りに来てくれたというのに………」
「そうでしたか……」
「……ぞんざいすぎますね。」
「クロスベル市から出られないミシェル達も歯がゆい思いをしているでしょうね……」
村長の説明を聞いたロイドは溜息を吐き、ティオは呆れ、エオリアは複雑そうな表情で呟き
「街の者が周辺の村里を省みぬのは世の常……しかし、どうもそれが行き過ぎているようだな。」
ツァイトは重々しい様子を纏って呟いた後厳しい表情をした。
「うむ……わしも正直、ついていけないものを感じる。かといって、この村の影響力などクロスベル市の人口に比べればあって無いようなもの……もはやわしらの希望はクロスベルの各所に散らばって潜伏している”六銃士”達じゃな。」
「え……局長達が?」
「そういえば局長達はこの辺りに潜伏しているという話だったね……」
村長の話を聞いたロイドは不思議そうな表情をし、ワジは真剣な表情で呟き
「もしかして局長達―――”六銃士”がこの村に姿を現した事があるのですか?」
ティオは真剣な表情で尋ねた。
「うむ…………ヴァイスハイト殿とアル警視……じゃったか。彼らや彼らの同志達がそれなりの頻度に村に姿を現して情報交換をしてくれたり、食料を配給してくれているのじゃ。……勿論彼らが姿を現した時は村人達が協力して国防軍が来ないか見張っておるし、国防軍に聞かれても知らないフリをしている。」
「そうだったのですか………」
「フム………狙われている立場でありながらも民を案ずるとは…………それに軍の長でありながら村里の民を案ずる事や民達に慕われている事といい……………ヴァイスハイトとギュランドロスこそ、まさに”真の王者”だな。」
村長の説明を聞いたロイドは驚き、ツァイトは感心し
「うむ……わし達もそう思っておるよ。」
ツァイトの言葉に村長は頷いた。
「しかし食料を配給って……一体どこからそんなにたくさんの食料を手に入れているのでしょう?潜伏しているのならそんな余裕はないと思うのですが……」
一方ティオは考え込み
「恐らく”ラギール商会”が極秘裏でメンフィル帝国から受け取って、それをわけているのではないかしら?」
「確かに転移魔術などを使えばクロスベル領への侵入や脱出は簡単ですものね。」
エオリアは推測し、エオリアの推測を聞いたリタは納得した様子で頷いた。
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