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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百四十二話 接触
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いるのか……。
近年、帝国の内憂は皇帝陛下の健康と帝位継承者が未決定である事だった。その所為で帝国内の二大貴族、ブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯が後継者争いをしている。一つ間違えば内乱になりかねない状態だった。
そして外患はもちろん反乱軍だ。だがその外患はシャンタウ星域の敗戦で大きく勢力を減じ当分の間考えなくてもいいだろう。だから今のうちに帝国内の内憂を片付けようということか。
「卿の言う通りじゃ。貴族達は反乱を起すじゃろうの」
リヒテンラーデ侯の言葉は私の考えを肯定するものだった。侯はブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯を排除しようとしている。勅令は彼らを暴発させ反乱に追い込むための手段というわけか。
私はここ数年オーディンには戻っていない。だからオーディンの政治情勢に詳しいとは言えないがそれでも分かる。リヒテンラーデ侯はヴァレンシュタイン元帥と協力体制を築いている。つまり新興勢力である平民と結んで帝国を動かそうとしている。
リヒテンラーデ侯は貴族である事を捨てるつもりなのか。貴族として生きてきたこれまでの人生を……。権力とはそれほどまでに人を執着させるものなのか……。
「レムシャイド伯、勘違いはするな。こう見えても己の権力欲のために勅令を、陛下を利用しようなどとは思わん。そこまで落ちぶれてはおらん」
「?」
リヒテンラーデ侯は厳しい表情をしている。私が何処かで侯を疎ましく思ったのが分かったのだろうか。
「このままでは帝国は滅ぶ。生き残るためには今のままではならぬのじゃ」
「!」
帝国が滅ぶ? 馬鹿な、侯は一体何を言っているのか。シャンタウ星域で勝利を収め帝国は国威が上昇していると言っていい。それが滅ぶなど有り得ない。
「リヒテンラーデ侯、そこからは私が話しましょう」
「いや、私が話す。これは私の役目だからの」
そう言うとリヒテンラーデ侯は何故政治改革が必要かを話し始めた……。
「新銀河帝国ですか……」
「うむ」
リヒテンラーデ侯の説明は三十分ほどかかった。フェザーン、同盟を占領し宇宙を統一する。そのことが帝国内部の政治改革を促す事になるとは……。そしてそれ以外に帝国が存続する道が無いとは。いや、なにより大きいのは陛下が改革を認めているということだろうか。
「どうかな、レムシャイド伯。我らに協力してもらえるかな」
「……閣下が権力欲から改革をと言うのであればお断りしました。しかし新銀河帝国ですか、まさかそんな事をお考えとは思いもしませんでした」
リヒテンラーデ侯は私の言葉に苦笑しながら言葉を出した。
「考えたのはヴァレンシュタインよ。私ではない」
そんな侯の言葉にヴァレンシュタイン元帥は穏やかに微笑んでいる。
「それ
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