第29話
[2/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
経緯を話し終えたエリオットは疲れた表情で溜息を吐いた後話を再開した。
「……正直、父さんを恨んだよ。争いごとは苦手だし、戦争なんてもっと嫌いだ。でも調べたら―――”トールズ士官学院”って所だけは音楽の授業が充実してるとわかって……卒業生の半分は、軍人以外の道を選択しているってことも知って……それで結局、妥協しちゃったわけ。」
「……………………」
複雑そうな表情で語るエリオットをリィン達は黙って見つめた。
「えへへ……みんなと比べたらちょっと情けない理由でしょ?結局、僕は父さんの言う事に最後まで逆らえなかった……僕の音楽への情熱なんてその程度だったのかと思って…………かと思えば、夏至祭の音楽祭や音楽院にも未練タラタラで……ああもう、何ていうか穴があったら入りたい気分だよ。」
「エリオット……」
「そうだったのか……」
「レンのパパとは正反対のお堅い考えね。」
「……エリオットは……後悔してるの?士官学院に入ったことを。」
自分を蔑んでいるエリオットをリィン達がそれぞれ重々しい様子を纏って見つめている中、レンは呆れた表情で溜息を吐いてエリオットに同情し、フィーは静かな表情で尋ねた。
「え、どうして?それに関しては後悔するわけないじゃない。」
「え。」
「へっ……」
しかしエリオットの答えを聞いたフィーはマキアスと共に呆け
「毎日、忙しいけど充実してるし放課後には部活で演奏もできるし、”特別実習”なんていう変わったカリキュラムもあるから色々、視野も広げられそうだしね。漠然と音楽院に進学するよりも今は良かったと思ってるくらいさ。卒業後、音楽の道を目指すにしても別の道を目指すにしても……今度こそ、僕は僕自身の意志で進むべき道を決められると思うから。」
「………………」
「エリオット……」
「ふう……そこまで考えていたとは。」
「……強いな、そなたは。」
「うふふ、レンも今のエリオットお兄さんはカッコイイと思ったわよ♪」
「あはは……買いかぶりすぎだよ。音楽院で頑張ってる友達を見てうらやましくは感じちゃってるし。でも、それでも士官学院に入ったことを後悔することだけは絶対にあり得ないと思うんだ。何よりも君達と―――Z組のみんなと会えたからね。」
リィン達に感心されたエリオットは苦笑した後、笑顔でリィン達を見回した。
「い、いくらなんでもそれは恥ずかしすぎだろう!?」
「エリオット……ひょっとして大物?」
エリオットの言葉を聞いたマキアスは驚き、フィーは首を傾げてエリオットを見つめた。
「え、え?そんなに恥ずかしいかな?」
「ふふ……さすがに赤面ものだろう。」
「はは……でもエリオ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ