第一章
[2]次話
ティギーおばさんのお話
ティギーおばさんは誰もが知っている通り針鼠です、ですからその身体中の針の毛を使って刺繍をしたりもしています。ただ本職は洗濯屋さんです。
ですが最近です、おばさんは刺繍の依頼の方が多くてです、頼みに来たリビーおばさんにこんなことを言いました。
「最近皆私に刺繍の依頼ばかりしてくるわね」
「あら、そうなの」
「ええ、洗濯よりもね」
本職のそちらよりもというのです。
「どうしてかしら」
「たまたまじゃないかしら」
リビーおばさんはこうティギーおばさんに返しました。
「それはね」
「たまたまかしら」
「というか洗濯の依頼は減っているかしら」
「そう言われると」
ティギーおばさんはリビーおばさんの言葉を聞いてです。
最近の洗濯の依頼を思い出してです、こう答えました。
「特にね」
「減っていないわね」
「ええ、別にね」
そうだというのです。
「そっちは相変わらずよ」
「そう、つまりね」
「洗濯はそのままで」
「刺繍の依頼が増えたのよ」
リビーおばさんはティギーおばさんにお話しました。
「そうなったのよ」
「そういうことね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「そう感じたのよ」
「刺繍の方が多いって」
「そう、それで刺繍が多いということは」
リビーおばさんはこのことからもティギーおばさんに言いました。
「針の数には注意してね」
「私の毛の針のことね」
「そう、あまり使い過ぎると針も減るでしょ」
「まあそれはね」
ティギーおばさんも否定しません。
「減っていくわね」
「そうでしょ、だからね」
「毛は生えかわったりするけれど」
「あまり急に抜くとね」
それこそというのです。
「やっぱり減るから」
「それでなのね」
「貴女も注意してね」
「そうね、毛はまた生えるけれど」
鼠や猫といった森の生きもの達はそうなのです、毛はすぐに一杯生えてきます。ですがあまりにもすぐに抜き過ぎるとです。
「生えるまでの間はね」
「毛が少なくなってね」
「寒くなるから」
「だから気をつけろってことね」
「服を着ていても寒い時があるでしょ」
「ええ、やっぱりね」
「そうした時に困るから」
それでというのです。
「貴女も注意してね」
「わかったわ、そうするわね。ただ」
「毛は使うわね」
「どうしてもね」
このことはどうしようもないとです、ティギーおばさんは言います。
「お仕事があったらね」
「というかお仕事があれば」
「そう、絶対にね」
「毛は使うわね」
「だからどうしようもないわよ」
毛を使うことはというのです。
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