9話目 好敵手(後)
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ソルもそれに激しく抵抗する。
ギャラドスの締め上げが一瞬緩くなった隙にアブソルに脱出されてしまうが、ギャラドスは素早くアブソルに頭に噛みついてアブソルを逃がさない。アブソルの角が食い込むことも気にせずに、今度は空中に思いっきり放り投げる。
投げられたアブソルは、エレナに指示されて刃の形の角や尻尾をギャラドスの方に向けて防御の姿勢をとる。するとギャラドスはアブソルの尻尾に噛みつき、空中で振り回して勢いをつけてから地面に向けて投げつける。
アブソルは着地の姿勢をとろうとするが、さらに上からのギャラドスの頭突きをくらい、地面に勢いよく衝突した。
アブソルは立ち上がったが、足がガクガクと震えている。おそらくアブソルも限界が近いのだろう。
「アブソル! もう少しだから! 頑張って!」
エレナがアブソルを励ましていると、ギャラドスの長い体をつかった足払いがアブソルに迫った。
「跳んで! “でんこうせっか”」
アブソルはなんとか跳んで避けて“でんこうせっか”をギャラドスにくらわせた。
次にギャラドスはアブソルを上空へ連れ去り、空中で攻防を繰り広げる
「アブソルそこ! “かみつく”! 負けないで!」
静かに見守るグレイと、声援と指示を送り続けるエレナ。対照的な2人であった。
2人はそれぞれ異なった考えの元に、それぞれの行動をとっている。
グレイは、この肉弾戦こそギャラドスが最も望む状況であり、ギャラドス自身が最高に力を発揮できる状況であり、そこにトレーナーの指示は不要だと考えていた。
エレナは、自分の指示を信じて戦っているアブソルに応えるために、自分が今できる事を全力でしなければいけない。そう考えていた。
2人の考えは全く異なるものだが、その根底にある思いは同じであった。ポケモンの力を最大限に引き出したい。そして勝ちたい。その思いである。
ギャラドスとアブソル。両者とも限界が近いように思われたが、肉弾戦は思いのほか長く続く。
しかし、ギャラドスはダメージの影響か、アブソルの攻撃を受ける度に怯むようになった。
対するアブソルも、ダメージの影響か動きが次第に鈍くなり、ギャラドスの攻撃を避けられない場面が目立つようになった。
ギャラドスが上に振り上げた尻尾を勢いよくアブソルに叩きつけた。アブソルは避けられず、ギャラドスの尻尾の攻撃が直撃し、ギャラドスと地面との間に潰された。
「アブソル!!」
エレナが悲痛な叫びをあげた。
(これはやっただろ!)
そう思ったグレイだが。
次の瞬間アブソルは立ち上がり、自分の角をギャラドスに押し当てる。ギャラドスが怯んだ隙に爪や尻尾で攻撃を加えた。
(マジか! これは……やられたか?)
相手の攻撃をまともに受けたギャラドスを見て、グレイはそう思った。
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