9話目 好敵手(後)
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ジに比べて、こっちが受けるダメージの方が大きい……このままやったら負けるな……)
相手側は、無防備なギャラドスを自由に攻撃でき、さらに影分身の偽物がいるのでギャラドスの攻撃を受ける確率は1/2である。
(せめて本物がどっちか分かればいいんだが……無理だな。完璧すぎる)
2体のアブソルは鏡のような完璧に左右対称な動きをしているので、見た目での判別は不可能である。さらに、ギャラドスに攻撃する時に限り一点に集まって攻撃するので、実際のダメージを与えているのがどちらか判別できない。
アブソルの動きもそうだが、エレナが指示に使っている言葉も偽物の判断を困難にしている。
アブソルが分身して鏡のような左右対称な動きをするより前は、エレナは回避の指示を『前』『後ろ』『右』『左』の4方向で行っていた。アブソルが向いている方向を基準として90°ずつ方向を指定する方法である。
しかしアブソルが2体で左右対称な動きをしてからは、『前』『後ろ』『内』『外』という言葉を使うようになった。『前』は相手がいる方向。『後ろ』は相手がいる方向の真逆の方向。『内』は分身した2体の距離が縮まる方向。『外』は分身した2体の距離が離れる方向である。
このように横方向への移動の指示を、『右』『左』の代わりに、『内』『外』を使うことで、左右対称な動きをする2体(つまり右と左が異なる2体)のどちらが本物かを判別されないように工夫しているのである。
ややこしい話はこれまでとして……。
グレイはどうすれば勝つことができるか考える。
(エレナの鏡アブソルの戦略を攻略するのは無理だな……やはり激しい肉弾戦を展開して、戦略とか関係ない泥仕合にもちこむしかない! もっとも……体力の限界が近そうなKKが肉弾戦で勝てるかは分からんが)
方針を決めたグレイはギャラドスに指示する。
「KK! 殴るよりも、相手を捕まえろ! 吹っ飛ばすのはダメだ!」
グレイの指示をギャラドスは受け入れたようだ。
アブソルの攻撃を受けた時、ギャラドスは長い胴体を絡ませてアブソルの逃亡を阻止し、そのまま締め上げた。アブソルは本物だったらしく消滅しない。
「KK! とにかく攻撃! ただし吹っ飛ばすのはダメだ!」
「アブソル“かみつく”! 爪でも攻撃して!」
ギャラドスは長い胴体でアブソルの首を強く締め上げ、背中に噛みつき、アブソルを顔面から地面に叩きつけ、全体重で潰す。
アブソルもギャラドスの体に“かみつく”をくらわし、爪や尻尾で切り裂いて攻撃する。顔から地面に叩きつけられる寸前に角を地面に向けてダメージを減らし、体重で潰そうとするギャラドスの体に角を立てて抵抗する。
体力がほとんど残っていないギャラドスにアブソルの抵抗は響くが、なおお構いなしにギャラドスはアブソルへの暴力を続ける。アブ
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