8話目 好敵手(前)
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撃を放ってくる。
「ジュプトル、一直線に近づいて! 相手の攻撃は剣で弾いて!」
エレナの指示通り、ジュプトルは一直線に距離を詰めようとするが、向かってくる全ての攻撃を弾くことはできず、徐々にダメージを受ける。そして肝心の距離は縮まらない。
「どうした? リベンジするんじゃないのか?」
グレイが煽ってくるが、今のエレナに言葉を返す余裕はなかった。手詰まりな状況に、エレナは焦り始めていた。
(理想は、近距離は剣で、遠距離は銃で戦うこと。でもそれは相手の動きで封じられ、できない……それで近距離を銃で戦ってみたけど、歯が立たなかった……今度は遠距離を剣で強行突破しようとしたけど、無理だった……どうすればいいの? 今のアタシとジュプトルでは、グレイのビビヨンには勝てないの……?)
エレナの中にネガティブな感情が渦巻くが、ふとエレナは、ジュプトルが視線を送ってきている事に気がつく。
(ジュプトルは……まだ戦いを諦めていない。アタシに指示を求めている……。そうよ、ジュプトルがアタシを信じているのに、アタシが試合を投げ出してはいけないわ)
エレナは、迫りくる攻撃を避け続けるジュプトルに語りかける。
「ねえ、ジュプトル。あのビビヨンに勝ちたいよね? 前と同じように負けるなんて、悔しいよね?」
ジュプトルは力強くエレナと目を合わせる。肯定の意思である。
「でも今のアナタでは、残念ながら勝てないわ……勝つためには、今のアナタが自分の限界を超える必要があるの」
エレナは続けて語りかける。
「悔しいと思うのなら、勝ちたいと思うのなら……“リーフブレード”と“タネマシンガン”を同時に操って見せて!」
ジュプトルはエレナの無茶な要求に目を丸くしたが、エレナの言葉と表情から、本気であることを感じとった。
ジュプトルは右手に草の剣を握ったまま、左手を大砲に変形させようとする。しかし相手から飛来する攻撃を避けながら、そこまでの無茶な事をする集中力が保てない。
「ジュプトル! 右に避けて! 跳んで! 右! 避け方はアタシが全部指示するから!! アナタは剣と銃を同時に操ることに集中して!!」
エレナの言葉で、ジュプトルは剣と銃を同時に操る事とエレナの言葉を聞くことに集中し、相手から飛来する攻撃への意識を完全に排除し、ただエレナの言うとおりの回避行動だけをし始めた。
次第に左手が大砲に変形するが、後少しで上手くいかず、手の形に戻ってしまう。
「ジュプトル! 諦めないで!」
エレナに励まされ、ジュプトルは再び挑戦する。
右手の草の剣を消滅させないよう気をつけながら、左手を徐々に大砲の形へと変えていく。
次第に左手は完全な大砲の形に近づく。
しかし、もう少しで完全な大砲の形になる所で、それ以上進まない。
「頑張って!! 勝ちたい
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