8話目 好敵手(前)
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「オレもエレナに言うことがある」
「なにかしら?」
「コイキング売りは昨日の内に辞めた」
(寝床と朝食は今日まで提供してもらったがな)
と思ったが口には出さない。
エレナがグレイに訊ねる。
「お金はどうするの? 親から貰えないのでしょう?」
「そりゃあアルバイトしながら旅するしかないだろ」
「その……親からの支援なしに、アルバイトで稼いだお金だけで旅するなんて、できるの?」
「できるだろ普通に。食費代が異常にかかる大型のポケモンでも連れてない限り」
「グレイは、お金に困って仕方なくコイキング売りの仲間になったのでしょう?」
(ああ……そういうことか)
グレイは、何故エレナがやたらと金の事でグレイを心配したり同情したりするか、疑問に思っていたが、今のエレナの言葉で納得がいった。
(生きるために仕方なくコイキング売りの仲間になったと思われてたのか)
まずはその誤解を解かなければ、そうグレイは思った。
「オレがコイキング売りの仲間になったのは、金にどうしても困ってて他に方法がなかったからという訳ではないぞ」
「そうなの?」
「そうだよ。だからコイキング売りを辞めたって、生きていけない訳じゃない。バイトで働く時間が増えるだけだ」
「じゃあ、親からお金を貰えなくても大丈夫なのね?」
再びグレイは疑問を抱いた。何故エレナが親から金を貰えるか貰えないかをそこまで気にするのか。そして1つ答えを思いつく。
「エレナ、もしかして昨日のスリの女に何か言われたか?」
「え? ええ……たいした事じゃないけれど」
「何言われたか、だいたい想像つくけどな。『お前は金をくれる親がいて、いい身分だな』とでも言われたんだろ?」
「な!? なぜ分かるの!?」
「ああいう不良が言いそうな事は分かるよ。それで、エレナみたいに善良な奴はそういう事を言われるのに慣れてないから、真に受けて動揺してしまうのも想像できる」
「……動揺なんかしてないわよ」
「まあそういう事にしよう。とにかく、ああいうカス共の言うことなんか、気にする必要ねえよ」
「カ、カスって……言い過ぎじゃないかしら?」
グレイ自身こそ、コイキング売りを辞める決心をするに至る程に、そのカス共から影響を強く受けているのだが。
「ところでエレナ、前に会った時よりポケモンは強くなったか?」
急にグレイは話題を変えて言った。
「ええもちろん。一流のトレーナーを目指して、アタシもアタシのポケモンも毎日鍛錬してるもの」
「へえ、やっぱポケモン研究所から最初のポケモンを貰って旅立ったラボ・チルドレンは流石だな」
「……あんまりラボ・チルドレンって言葉、好きじゃないけどね。でもラボ・チルドレンということで、期待されているという事は確かよ」
グレイは悪戯っぽい表情を浮かべ
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