3話目 出会い
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目の前にはトラックが停車しており、トラックの荷台には巨大な水槽があった。水槽の中には多数のコイキングが泳いでいる。
トラックの影から1人の男が姿を現した。
なにぃ!? とグレイは思わず声を出しそうになった。
「よう! さっきの兄ちゃんじゃねえか。どうした? やっぱり秘密のポケモン、コイキングが欲しくなったのかい?」
姿を現した男は、先ほどのコイキング売りのおっちゃんである。
(なぜこいつがここに!?)
とグレイが思っていると、ギラドが口を開く。
「コインさん、『さっきの』とはどういう意味ですか? このトレーナーのことを知っているんですか?」
コイキング売りのおっちゃんの名前はコインというらしい。コインは答える。
「ああ、よく知ってるぜ。コイキングを買おうとしないケチな兄ちゃんだってな」
言われっぱなしは癪なのでグレイも言い返す。
「ギャラドス売ってくれるなら、値段によっては買うけど」
「うちはギャラドスは取り扱ってないぜ。そうだ兄ちゃん、育てればギャラドスに進化するという秘密のポケモン、コイキングなら売ってやるぜ?」
「コイキングはいらん」
グレイとコインがそんなやりとりをしていると、ギラドが口をはさむ。
「まあまあグレイくん。そろそろ仕事の内容を説明してもいいですか?」
「ギラドさん。まさか仕事って、コイキング売りじゃねえだろうな?」
「確かにコイキング売りに関係することではありますが、君にやって欲しいのは別のことですよ。君にコイキング売りをさせる訳ではないですよ」
「で、オレにやって欲しいことって何です?」
「君にやってもらいたいのはステルスマーケティング、いわゆるステマです」
「ステマ?」
ギラドの説明によると、ギラドとコインは、ギャラドスを使って町中のトレーナーにバトルで勝ちまくることで、町中のトレーナーにギャラドスを強いポケモンと評価させてギャラドスの需要を上げさせ、そこに進化前のコイキングを売りこむという作戦で商売をしているらしい。
しかし、この作戦には現在1つ問題があった。それは、ギャラドスを使って町中のトレーナーに勝つという段階がクリアできないという事である。ギラドとコインの2人は、トレーナーとしての実力が皆無である。そのためギャラドスの力を引き出すことができないのだ。
そこで、トレーナーとしての実力が高そうなグレイに、2人の代わりにギャラドスを使って町中のトレーナーに勝って、ギャラドスの強さを示して欲しいという訳であった。
グレイは説明を聞いて、話自体はそんなに悪くないと思い始めていた。だが、気になることもある。グレイは素直に今思っていることを口にした。
「話自体は悪くないと思うけど……正直に言うと、コイキング売りなんて詐欺みたいな事に加担したくはないんですよね」
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