第6章 流されて異界
第148話 召喚の理由
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界を創り出そうとした這い寄る混沌や名づけざられし者。
その名づけざられし者に接触する事や自分の観察結果を、自らの進歩の糧にしようと考えて、事件が起きるまで……世界が混乱するまで放置し続ける事を選び続けた情報思念体。
……其処に地球に住む生命への迷惑は一切、考慮されていない。
自らがやって来た未来への道筋を付ける為に、一度改変された歴史を、人類が滅びる可能性の高い黙示録の世界を再現する可能性の高い歴史へと改竄をし続けた未来人。
……見事なまでに自分の事しか考えていない連中に囲まれている状態が、彼女……シュブ=ニグラスに取って居心地が良い訳はない。
むしろ現在の揺り戻しの世界の元を作ったのは彼女。
もっとも、最初に俺をこの世界に召喚したのは、そう言うシュブ=ニグラスの意図を理解した、この世界と同化したかつての俺の知己だった神仙たち……だとは思うが。
その結果、ハルヒが出鱈目に貼りまくったお札を偶然、羅?星の封じを破らせる術式として起動させ、同時にその事件の解決役として異世界より、奴=羅?星と関係の深い魂を持つ俺を召喚した。
しかし、有希が俺に謝らなければならない事?
「それはもしかして、毎晩のように、俺が寝た後に部屋にやって来ていた事についてか?」
最初にそう尋ねる俺。
もっとも、これは謝らなければならないのは、むしろ此方の方。
これは多分、俺が寝ている間に呼吸を合わせる練習をしていたのだと思う。流石に、何の調整もせず、いきなり他人の霊気を操れる仙人などいない。特に俺の龍気は、普通の……天仙や龍神と比べても大きく、制御も難しい。何時、暴走を始めるか分からない剣呑な存在。そもそも、自分自身でも完璧に扱う事が出来ないのに、それを他人の有希にぶっつけ本番に近い形で制御出来る訳はない。
要は、事件が起きる前の準備を彼女一人にさせて仕舞ったと言う事ですから。
「すまなんだな。もう少し早く気付いて居たのなら、修行ももっとやり易かったと思うけど」
確かに正面から見つめ合い、二人の呼吸を合わせ、最終的には心臓の鼓動すらも同期させる。そう言う事を為すのに、彼女に対する俺の感情が邪魔になる可能性が若干なりとも存在する。――存在するのだが、それはソレ。よりリラックスする……出来る状況を作り出すか、それとも最初は正面から見つめ合わずに呼吸のみを同期させる所から始める方法だってあった。
こっちの世界に来てから、少し気が弛んでいたような気がする。矢張り、水晶宮があるのと、ないのとでは心に取って大きな差が有ると言う事なのでしょう。
元々俺は怠惰で、自らのケツに火が付かない限り動き出さないタイプの人間ですから。
しかし……。しかし、矢張り首を横に
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