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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第148話 召喚の理由
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上、この事柄に関して問題はないと推測出来る。
 また、涼宮ハルヒが再び世界に悪影響を与える可能性も、あなたと彼女の関係を見ると杞憂に過ぎなかったと思われる。

 確かに、水晶宮が許可した以上、俺の召喚自体に罪はない。更に、その後に待ち受けていた事件も有希や俺が中心と成って解決した以上、この部分に関しても問題はない。
 それとハルヒに関して言うのなら、俺とアイツの関係と言うよりは、現在の彼奴が置かれている立場と、過去の彼女の状況との差がアイツを再び以前の世界への回帰を思い起こさせる事がない状態へと導いている……のではないか、と俺は考えているのだが。

 そもそも、今年の七月七日の夜に歴史が修正されるまで、ハルヒは不思議な事を探し求めながら、彼女自身以外の部分には不思議が蔓延しているのに、何故か彼女自身はその情報から隔絶された場所に留め置かれたらしい。
 正直、何故、そんな危険な事を這い寄る混沌たちが為したのか意味が分からないが、推測するに、その方がより世界が混乱するから、なのではないか、と思われる。

 確かに、ハルヒ自身がパラノイアで、破壊衝動に満ちた存在ならば事実をありのまま。世界はオマエの思うまま。壊そうが、作り変えようが自由自在だ、などと告げたのなら、世界の再構築や、破壊などを行う危険性はあったと思う。しかし、この十二月から俺が付き合った涼宮ハルヒと言う名前の少女は、表面上は我が儘で突拍子もない言動や行動を取る危険性があるように思われるが、実はそう言う風を装っているだけ。内側には非常に理知的で節度のある常識人の顔が隠されている。
 ……と俺は感じて居る。
 つまり、そう言う人間に対して、オマエには特殊な能力が有るから、世界を自分の思うがままに作り変えろ、などと言ったトコロで、そもそも簡単に信用しないし、仮に信用したとしても、其処に暮らす自分以外の生命の事を考えて、無茶な改変は行わない可能性の方が高い。
 それならば、むしろ無意識下の衝動で世界に影響を与えさせ続けた方が面白い……と奴らが考えたとしても不思議でもなんでもない。

 ……で、その状況はハルヒに取っては蛇の生殺し。世界は当たり前で平穏。退屈な面しか彼女の前には見せないのなら、ずっと不満が溜まり続けていたはず。その衝動。こんなはずではない。世界はもっと不思議に満ちているはずだ。
 その不満が彼女の特殊な能力の原動力となった可能性が高い。

 正直、ずっと不満ばかりが溜まって居た過去に帰りたいなどと誰が願う?
 まして、彼女の無意識下に存在するはずの千匹の仔を孕みし森の黒山羊(シュブ=ニグラス)も不満が溜まっていたはず。
 古の物語によると彼女は、周りが自分の事しか考えていない事を強く不満に思い旅に出た、……と記述されている。

 自ら(だけ)が楽しい世
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