第6章 流されて異界
第148話 召喚の理由
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、上層部は老化などと言う言葉とは無縁の存在が多いので、これから百年先であったとしても人材が不足する可能性は低いと思う。
今のままならば。
但し、このまま平穏な時代が続くとは限らない。西洋占星術的に言えばこれから先、イエスが支配したうお座の時代が終わり、みずがめ座の時代がやって来る。うお座の時代は物質が支配する時代だったが、みずがめ座の時代は精神が支配する時代になる、と言われている。
みんな仲良くボチボチと、……などと言う呑気な時代なら良いのだが、いくらなんでもそう言う訳にも行かないでしょう。タバサに召喚されたハルケギニア世界でも、そして、長門有希に召喚されたこの世界でも俺が巻き込まれた事件は、すべて霊的に……。神に選ばれた英雄だ、と自称している連中が起こした、一歩間違えるとその自らが暮らす世界自体を滅ぼして終いかねない危険な事件ばかりでしたから。
事件を起こした連中は全員、霊的に。精神的に進化――神化していて、無知蒙昧な愚民どもと自分たちは違う、と思い込んでいるような気配がありましたから。
次の時代が『精神が支配』する時代となるのなら、そう言う、キ印……自称予言者や自称英雄が雨後の筍の如く、アチコチから顕われる可能性もある。
それに、牛種の連中は未だ世界を牛耳る事を諦めた訳でもないと思う。更に言うと、その牛種の中で、元々は同一の存在であったはずの西欧を支配している奴と、中東を治めている奴も現在ではお互いに争っている以上……。
これから先も優秀な人材は必要だ、と考えたとしても不思議でも何でもない、と言う事。
「俺を呼ぶと間違いなく困難な道のり。呼ばなければ、今年の七月から続く平穏な日々が続く」
少なくとも、ハード・ルートを選択した上で、大過なく……誰も死亡させず、更に社会に悪影響を与える事もなくすべての事件を解決した以上、有希はこの試練を乗り越えた。そう言う事や。
大きな瞳。想像以上に白い肌。華奢な身体に細すぎる腕。振り返った視線の先。其処に存在していたのは、普段通り生物としての匂いを感じさせない、妙に造り物めいた少女の姿であった。
しかし――
静かに首を横に振る彼女。普段は清んだ湖を思わせる瞳は悲壮な色のみを浮かべ、ただ僅かに頭を垂れるのみ。
まるで刑の執行を待つ咎人のように……。
「最初、わたし自身が今のこの世界にあなたが必要ないと考えたのは事実」
あなたと接触する事により、涼宮ハルヒや朝倉涼子にどのような影響が現われるかが不明であり、もし不用意に接触する事によって、彼女らに何らかの……。
小さな……。普段以上に小さな声で訥々と話し続ける有希。
但し、彼女の話の内容は奇異でもなければ、不審でもない。そして、彼女がそれでも尚、俺を召喚しようとした動機と、その元を作った
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