第6章 流されて異界
第148話 召喚の理由
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馬家に対して何らかのペナルティが課せられる可能性はあるが、それでも今の処、彼女に対する何らかの処分が下された様子はない。
予想通りの有希の答えに、少しの笑みを浮かべる俺。
「有希、それは天の中津宮を舐めすぎているぞ」
受肉しているとは言っても、組織の上層部は元々が神と称される連中。確かに主神の天照大御神は藤原不比等の余計な策謀により以後の世界で転生体が顕われた事はないが、思兼神や天日?貴神がしっかりとしているから問題はない。
……と思う。
「例え俺や弓月さんがさつきに有利な証言をしたとしても、ソレが真実と違っていたのなら、彼奴は何らかの形で処分されたはずや」
さつきや相馬の家に処分が為されていないのは俺や弓月さんの証言が事実である、……と認められたから。
「情報を収集する事によって進化を究めたなどと自称していた割には、有希の中に発生した魂ひとつ理解する事の出来なかった存在と、術に因って真偽を判断する事が出来る連中とを同列に考えない事や」
もっとも、思念体に関して言うのなら、その事を理解していた上で、更に精神に負荷を与える事に因って何かを為したかった可能性もある……とは思う。……が、しかし、俺の行動に因ってこの世界から消えて終った連中が一体、何を考えて居たのかを知る術は……ない事もないが、それこそ意味がない。
まぁ、実際、負から発生した感情はロクな物でない事の方が多いので、無理に知る必要もない。おそらく、クダラナイ目的か、もしくは唾棄すべき理由かのどちらかなのでしょう。
そこまで話し終えた段階でゆっくりと立ち上がり、そのまま回れ右。その視界の中心に彼女の姿を置く。
「水晶宮が俺の召喚をするかどうかの判断を有希に任せたのなら、結果がどう言う事になろうとその責はすべて水晶宮が負う。そう言う事」
別にオマエさんが気に病む必要はない。
亮や玄辰水星は、有希が何か事件を起こす兆候を掴んで居たのだと思う。故に、水晶宮の方から、俺を召喚するかどうかは、彼女の判断に任せる、と言う指針を示したのだと推測出来る。
……つまり、召喚するな、と指示を出したとしても、彼女がその命令に従わない可能性が高いから、召喚しても良いと言う曖昧な指示に留めたと言う事。
「所詮、裏の世界であぶれた術者の互助会に過ぎない水晶宮なんだが、それでもある程度の見込みがある連中に対しては、こう言う形で試練を与えて来る可能性がある」
試練。成長を促している、と言った方が良いかも知れない。この世界はハルケギニアのように世界の滅亡待ったなし、のような危機的状況ではないので現状では戦力は足りている可能性が高い。更に、水晶宮だけに限って見ても
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