第6章 流されて異界
第148話 召喚の理由
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の意見としては、おそらく、俺を召喚する事に対するメリットとデメリットを考えた上で、本来ならばデメリットの方が大きいと判断した事は想像に難くない。
何故ならば、今年の七月七日の夜以降……。いや、正確に言うのなら歴史が改変された事により、この世界の歴史では、一九九九年七月七日の夜以降、涼宮ハルヒ発の事件は発生する事もなく、本来ならばその延長線上にある二〇〇二年十二月の今、この世界に俺を呼ぶ必要はないはず。
普通に考えるのならこちらの方が当たり前。事件が起きていないのに、其処に警察を呼ぶのは意味がない。火事が起きていないのに消防車を呼ぶと、普通の場合はこっぴどく叱られる事となる。
「わたしの個人的な意見でも、本来はこの十二月にあなたを呼ぶ必要はない。そう考えていた」
湯気の向こう側から、普段とまったく変わる事のない表情でそう話し続ける有希。もっとも、普通に考えるのならばこれは正反対。普段の彼女が発して居る雰囲気や俺に対する態度などから考えるのなら、彼女個人の意見は俺を召喚する事の方を選ぶ可能性の方が高いのではないか、そう考えても不思議ではない。
但し、逆に言うと、俺を水晶宮の方が召喚しても良い、……と言った事に対しては普通の組織ならば違和感を覚えるはず。
普通の場合ならば。
この世界。いや、もっと正確に言うのなら、涼宮ハルヒに取って俺は鍵だ。本来、そうなるはずでなかった世界。彼女が名づけざられし者を召喚して終った世界と、しなかった世界の丁度中間点に存在しているのは俺。
もし、俺とハルヒが接触する事により、ハルヒの中に眠るシュブ=ニグラスの因子が悪い方向に目覚めるような事となれば、折角、回避したハズの黙示録の世がまた訪れる危険性が発生する。
その事が分かっているから有希は俺を召喚しない方が良い、……と考えたと言う事。
彼女個人の感情は無視して、冷静に、冷徹に判断したのだと思う。
「でも……」
そう言った切り言葉を発する事を止め、鏡の中の俺の瞳を覗き込む有希。
……やれやれ。
軽く肩を竦めて見せる俺。多分、彼女は自らを責めて居るのだと思う。そんな事に意味はないし、おそらく誰も彼女を責める事などないと言うのに。
それならば。
「さつきが今回の事件で処分されなかった理由は分かるな?」
やや意味不明の問い掛けを行う俺。
その問い掛けに対して僅かに首肯く有希。ハルヒなら、それがどう言う関係があるのよ、……と文句のひとつも出て来るタイミング。そして、
「それはあなたや弓月桜が、相馬さつきが精神を操られていた事を証言したから」
そう。詳しい事は分からないが、今の処、アラハバキ召喚事件の際に俺たちに対して敵対行動を取った相馬さつきに対する処分はない。確かに、これから先に相
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