第6章 流されて異界
第148話 召喚の理由
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振る有希。
「問題ない」
あなたを呼び寄せたのはわたし。本来ならわたしと神代万結の二人で解決しなければならない事件にあなたを巻き込んだのもわたし。
普段から快活とか、明朗などと言う単語とは正反対の彼女なのだが、今宵は普段の五割増ぐらいの陰の気に包まれた様子。
しかし……。
一度俺の瞳を覗き込むような間の後、それに、……と言葉を続ける有希。ただ、その時は何故か少し明るい気を発して居る。俺にはそう感じられた。
「あなたの傍らで眠るのは心地良い」
あなたの鼓動に包まれ、あなたの体温を感じて眠りに就くと、何故か懐かしい夢の世界へと旅立つ事が出来た。
ぽつり、と呟かれる小さな声。
……完全に虚を衝かれた。まさか、そう言う方向に跳ねると考えていなかったので、まったく対処方法を考えていなかった。
元々、彼女が謝りたいと言う内容に思い当たる物もなく、彼女が向けて来る淡い好意に対する自らの感情が、自分の物なのか、それとも今の自分以外の誰かの物なんじゃないか、……などと、そんなどうでも良いような事で思い悩んでいる人間。
つまり、彼女に対しては常に正面から向き合って居たいと考えている……と言う事。
対応に窮し、思わず視線を外して仕舞う。もしかすると少し後ろめたかったのかも知れない。
その瞬間。
「あなたに謝らなければならないのは――」
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