レベル6前編 人間間ではかなり強力な力を、誇る
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庭を飛び出した。
「……」
毛糸は駆けていく樢を見えなくなるまでぼんやりと眺めた後、顔を下駄箱の方に戻した。
「何も聞く必要は、無さそうね」
毛糸はそう呟くと、靴を履き、ゆっくりと学び舎を出た。
体育館の裏へと駆けると、既にそこで待っている人影がはっきりと見えてきた。
「……あれ?」
明らかにそれは学生の姿にしては年老いすぎていた。更に言うなら、その人の殺気立った雰囲気は、恐らく教師でも無さそうだった。
「…………あ」
このパターンは想像がつく。部外者が樢を呼び出すなら、理由はおそらく……
「引っかかったな哀手なんちゃらぁああぁああ!サンサーヴを寄越せぇぇぇえぇえぇええぇえ!!」
「あーもうこんなんばっか!」
「なんだとぉおお!俺をそこんじょそこらの一山すじこのハンターと一緒にするんじゃねぇよ哀手なんちゃらぁ!」
そう吠える彼は二十歳を少し過ぎた辺だろうか。染めて日が経ってしまったのだろうか、髪の上半分が真っ白で下半分が黒い。
「俺はなぁ!俺にしか出来ない必殺技があるんだよ哀手なんちゃらぁ!」
「哀手 樢です!」
「哀手なんちゃらぁ!」
「……」
樢は諦めた。
「必殺!《万華鏡−華麗なる分身》!」
彼がそう叫ぶと、
「ひぇああああ!」
「でいちぇらああああ!」
「コングラフィアアアアア!」
彼の背後から3人の男が飛び出してきた。
彼らも最初の男とそう変わらない年齢だろう。それぞれ髪を白に染めているが、髪の根元からある程度は黒いままだ。
「うわ!?」
驚きというよりかは単純な恐怖心と嫌悪感で樢は声を上げた。
「「「「フハハハッハハハハアハハハアハ!年貢の納め時だ、哀手なんちゃら!」」」」
高笑いするハンター達、怯んでいる樢。
そしてそれ以外にも、音が聞こえる気がする。それも地下から。
「……って」
地面に人工的に綺麗な丸い穴が空いた。
「万華鏡なのになんで4人いるんだよ!」
そこから叫びながら飛び出してきたのは、犬だった。
「え!?」
明らかに先程の言葉はこの犬から発せられていた。
犬は茶色で滑らかな毛を持つ大型犬。そしてそれはねずみ色のバックパックを背負っていた。
「犬だ!おっきい犬だ!」
樢は喝采を上げた。樢は猫派だが犬も結構好きである。
「何ぃ!?万華鏡は《ハーピィ・レディ三姉妹》を……」
突然中央の男が固まった。
「確かに!?」
「アホかお前ら」
犬は人間に呆れ顔を向けた。
「……って君、日本語上手ね」
樢は犬に笑みを見せた。
「あぁ?ガキ扱いすんな。俺はダード。もうとっくの昔に大人になっているんだよこの小娘」
「へぇー、ごめんなさいねぇー」
睨んでいるダードもなかなか可愛いと思いながら樢は生返事をした。
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