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歌集「春雪花」
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 雨空に

  憂きし心の

   慰めも

 霞となりて

  真木を濡らしぬ



 寂しげな雨空…夏影を遮る厚い雲は、色鮮やかな夏の色彩さえモノトーンに変えるようで…。

 募る想いは淋しさと辛さを突き付けて…そんな心を慰めるように、愉しいことなどを考えてはみたものの…彼がいなければ意味はなく…。

 そんな私の心中を察してか…雨が降り始める…。
 私の思いは霞のように四散し…私の想いは涙の様な雨となり…。

 夏の山波…生い茂る木々に降り注ぐ雨…。


 ただ…侘しく眺め…。



 君ぞ恋し

  想いしけふも

   疲れ果て

 わが身を呪う

    朝ぼらけかな



 彼が恋しくて堪らない…なぜこんなにも愛おしいのか…。

 どんなに想えども、彼はいない…。
 ただ日々が流れ…その日々に疲れて…。

 私とは何なのだろう…男の身でありながら男を愛する…。
 意味のない命ではないのか?無駄な人生ではないのか…?


 山波が白む…独り、侘しき朝を迎える…。





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