Side Story
少女怪盗と仮面の神父 25
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手で。アーレストの言動で。……シャムロックの悪行が原因で。
彼女の心はズタズタに引き裂かれてしまった。
一緒に積み重ねてきた時間が。分かち合えた何もかも全部が。彼女の中で色を変え、ひっくり返る。
これからのアルフィンは、村の人達やグレンデルの好意を疑うのだろうか。それでも……と、信じてくれるだろうか。
どちらにしても、全幅の信頼を寄せた可憐な笑顔の花は、もう二度と開かないかも知れない。
なんて事をしてくれた。
なんという事をしてしまったのだ。
彼女の笑顔を奪うという行為は、単純に物を盗むよりも遥かに罪深い!
「……貴女は優しい。道理を解さぬ子供らしい純粋な正義感を差し引いても、身近な人間に対して優しすぎる。彼らが必死になるのも無理はない。アルフィンさんの為に本気で涙を流す貴女が真相を目にした時、正気を保っていられるか……」
「だからもう、そういうのを止めてって言ってるのよ!! 私は莫迦で鈍い、察しが悪い子供なの! 貴方達大人が知ってて当然、理解してて当たり前の事だって、私は全然解ってないのッ! 遠回しに言われて納得できる優良な頭を持ち合わせてたら、私が盗品を買わせた商人達は一人として死ななかったし、アルフィンもあんな酷い目に合わせてない! 私が道理を理解してない所為でたくさんの人達が迷惑してるって言うなら、「無駄だから」で放置しないで、その道理とやらを私が納得するまできっちりはっきり解りやすく説明してよ!! 結果、私が正気を失くすほど後悔するなら、それこそまさしく自業自得ってもんじゃないの!? ねぇ!!」
握った拳がアーレストの肩を何度も何度も強く叩く。
酷い八つ当たりだ。
彼は巻き込まれただけだと聞いたばかりなのに。彼の言葉通り、全部自分で考えて決めて実行して。知らなかったとはいえ、商人達を護ろうと……自分を止めようとしてくれてた人達には「邪魔しないで」と本気で願ったくせに。
身勝手だ。
ああ、確かにミートリッテはどうしようもない自分勝手だ。
自己責任は何処へ消えたのかと嘲りたくなる。
でも!
これ以上、訳も分からず苦しんだり苦しめたりするのは嫌だ!
溢れる涙を暗闇へ散らして泣き喚くミートリッテに、アーレストは
「わかりました」
ピタッと歩みを止める。
「今こそ、貴女の行いの総てに答えを授けましょう。ですが、事の子細は貴女自身の力で探り当てなさい。人間にとって重要なのは答えを得る事ではなく、自らの力で道を探り、答えを導き出す事。真に己を背負って生きたいと願うのなら、思考まで他人に依存してはいけません。それでは、女神の狂信者達と何ら変わりないのだから」
「っ……?」
口を開いたミートリッテが言葉を放つ前に。神父の唇が、聞き慣れた中性的な声色より一段も二段も低い音で、勇
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