Side Story
少女怪盗と仮面の神父 25
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追い着いちゃったのね。予想よりかなり早いじゃない。貴女が連れて来たの? マーシャル」
「アタシは預かってた伝書鳥に「さっさと此処まで来い!」って書いた紙を持たせて飛ばしただけよ。役立たずを抱えてるのはお互いサマ、ね!」
「あはは! 言えてる!」
ミートリッテが場を離れるからか、神父の肩越しで覗くマーシャルの剣技に鋭さが増した。
二人の剣捌きは既に目で追い掛けるのも難しい速さで、実際にぶつかった数と聴こえる金属音の数が一致してない……気がする。
それでいて双方に傷一つ付かない辺りが、尚一層恐ろしい。
やはり二人共、途方もない化物だ。
「……とか、感心(?)しててどうするの私! ちょっと待って神父様! 私まだ、貴方にもあの人達にも尋きたい事が!」
真っ黒な木立の隙間へ潜っても、足下の確認すらせずにさくさく前進するアーレスト。たまに腰を曲げたり上半身を左右どちらかへ傾けるのは、垂れ下がった枝葉を避けている所為だろう。明らかに利いてる夜目を羨む間にも、女性達との距離はどんどん開いていく。
「そう焦らずともアルフィンさんは無事ですし、貴女の疑問は彼らとイオーネさんが相対した時に総て解消されます。ですが、それまでに彼ら側の陣営で捕らわれた場合、貴女が真実を知る機会は二度と訪れません。アルスエルナの領土内に於いて、イオーネさん達は決して彼らには敵わない。そして、彼らの願いは「自分達の業に貴女を巻き込みたくない」でしたから」
明かりが遮られた状態の為、彼の表情は殆ど見えていない。その分さらりと告げられた内容に、落ち込んでいた苦い感情が再沸騰した。
「……アルフィンが……無事、ですって……!? よくもそんなふざけた表現ができるわね! あの子は血を流してたのに! ううん。傷付けられたのは腕だけじゃない。いきなり知らない人に拉致され怪我させられて、どんなに痛かったか……どれだけ怖かったか! 今回の騒動で、あの子の心には間違いなく人間に対する恐怖が植え付けられたわ。貴方が村を裏切りイオーネとやらに堂々と組みしたおかげで、多分大人達への不信感も芽生えてしまってる。今後親しみを持って接しようとする人間が増えれば増えるほど、あの子は誰にいつ傷付けられるか判らない警戒心で精神的に孤立してしまう! 貴方達が……私達が! そうさせてしまったのよ! 幼い子供を怯えさせて、心を抉って、孤独にまで追いやったくせに! 何が神父よ! 何が司教よ! 慈愛の女神に仕える聖職者が聞いて呆れるわ!!」
ネアウィック村で生活を始めて直ぐに聞いたアルフィンの境遇は、嫌になるくらいミートリッテの過去とそっくりだった。
だからこそグレンデルにだけ咲かせる笑顔の意味も解っているし、アルフィンには絶対に幸せでいて欲しかった。けれど。
台無しだ。
イオーネと仲間達の
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