第二部 WONDERING DESTINY
CHAPTER#6
SILVER CHARIOT 〜Crescent Knight〜
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IO様の処までは行けんン!!!!」
最早とても人間とは想えない奇声と狂声をあげながら、
老人はスタンド破壊に伴う大量出血を全身から噴き散らし、
二つに別れた舌を蠢かせてそう告げる。
「例えこの機の墜落から助かったとて、エジプトまでは遙か一万キロ!!
その間DIO様に忠誠を誓った者共が、四六時中貴様等をつけ狙うのドァッッ!!
この世界には、貴様等の知らん想像を超えた 『スタンド』 が
存在するゥゥゥ!!!!!」
「……」
「……」
善悪は抜きにして、その最後の刻に迄DIOの配下足らんとするその覚悟。
一人の救いようのない悪党を、ここまで惹きつけてしまうその超人性に、
花京院とアラストールは同時に息を呑む。
「DIO様は、その 『スタンド』 を “究極” にまで高められた御方!!
遍く無数の能力者の頂点に君臨出来る御方なのドァ!!
辿り着けるワケがぬぁ〜〜〜〜〜〜〜〜い!!
貴様等は決してエジプトには行けんのどあああああああああああああああああああ
ばばばばばばばばばばばばばばばば〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!」
最後の奇声と共に、その全身から迸る鮮血。
「べちあァッッッッ!!!!」
奇虫の断末と共に、殺戮のスタンド 『灰の塔』 は、
今度こそ本当に息絶えた。
「ひ!」
老人の死骸の背後にいつのまにかいた二人のCAが、
その惨状を眼にし叫び声をあげそうになるがなんとかソレを喉の奥に押し止める。
その二人の存在を認めた無頼の貴公子が、
「流石はCA。プロ中のプロ……悲鳴をあげないのはうっとーしくなくて良いぜ……
ソコで頼みだが、今からこのジジイがこの機を海上に不時着させる。
他の乗客に救命具つけて座席ベルトを締めさせな」
副操縦席にその長い脚を組んで座り、
機 長さながらの口調と威厳で告げる。
その脇で主操縦席に腰掛けたジョセフが、
「う〜む。プロペラ機なら、昔経験あるんじゃがのぉ〜」
と危機感のない声で漏らす。
「プ、プロペラ……」
背後で両腕を腰の位置に組んだ花京院が、
「大丈夫、なの?」
何故かもう一つの副操縦席に座ったシャナが、怪訝な表情でそう問う。
「ふ〜む。どうやら下降や上昇はこのハンドルで行えばイイらしいのぉ〜。
ソレならセスナと余り変わらん、まぁ何とかなりそうだ」
「……」
「……」
ジョセフの落ち着いた言葉に、無頼の貴公子と長い黒髪の美少女は
ホッとしたように背もたれへ身体を預ける。
だが、次の瞬間。
ジョセフはどことなくシラけたような、或いは遙か遠い方を視るような瞳で、
頬を掻きながらポソリと言う。
「しかし承太郎、それにシャナ。これでワシは 「3度目」 だぞ。
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