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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-41
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置かれている状況を把握しようとする。しかし、それよりも先に扉が開かれる。それによって真っ暗だった部屋に光が差し込み、目を眩ませる。
 眩しくて瞬きを何回かしている間に部屋に入ってきた誰かは閉め切っていたカーテンをすべて開いた。


「もう朝ですよ、お嬢様。遅くまで仕事をするのもいいですが、体には気をつけてください」
「う、虚ちゃん……。今何時?」
「もう朝の八時です。さあ、朝ご飯を食べますよ」


 IS学園の生徒会長である更識楯無は、今起こっていることの情報収集で手が一杯だった。連日更新される情報に一つ一つ目を通し、何をすべきか即座に判断し、部下に指示を出す。
 幸い日本国内では何も起こっていないが、これからまだまだ脅威は襲い来ると睨んでいる。以前、油断できない状況だった。


「朝ご飯なんて食べてる暇ないわ」
「……お嬢様?」
「……か、顔が怖いわよ?」
「……お嬢様?」
「分かったわよ、もう。食べればいいんでしょ」


 楯無は、思いを寄せていた相手が亡国機業の人間であったことにショックを受けて立ち直れていなかったが、時間が過ぎてようやく元の状態まで戻りつつある。まだ、受け入れ切れていないところもあるが、的であると認識はしている。直接会ったときに銃を向けることができるとはまだ思わないが。


 朝ご飯を急いで掻き込み、人前に出られる最低限の身だしなみを整えてまた仕事に戻る。今は日本のために身を粉にして僅かな情報さえ逃さないように神経を尖らせるだけである。


 ◯


 束は蓮の元へ戻ってきていた。いつもつけているウサミミカチューシャは外して、落ち込んだまま蓮の隣に座った。


 静かな時間が過ぎる。
 蓮は自分から聞くことはしない。相手の方から言い出してくれるのを待って、それまでは支えるように隣にいるのだ。最もそれをするのは束限定であったりするのだが。


 束はまだ踏ん切りがつかないのか、視線を床と蓮とを行ったり来たりしながら、蓮の方を向いて口を開こうとしてもすぐに視線を床に向けることを何度も繰り返している。
 いじらしくじれったいが、蓮は待つ。そして、とうとう彼女から切り出した。


「……私もひとりぼっちになっちゃった。どうしてだろうね、あんなに煩わしく思ってたのに、邪魔だと思ってたのに、本当になくしてみるとこんなにも悲しいんだろうね」
「……どうしてだろうな、俺はよく分からない。安い同情もしないけど、こうして隣にいることはできるよ」
「…………うん」


 それっきり何も話そうともせずに蓮の胸元に顔を埋めた。時々肩を振るわせて、殺しきれない嗚咽が漏れる。
 そっと肩を寄せて何も言わず、ただそっとする。いつもの彼女に戻ってくれるように、いつもの笑顔を見せ
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