SIDE:A
第七話
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いつもの模擬戦場。太陽が照りつけ木の葉が舞う中、二つの影が交差した。
――ギィンッ!
甲高い金属音とともに一瞬火花が散る。不適な笑みを浮かべる金髪の青年と、獰猛な笑顔をした赤髪の少年の顔を一瞬照らした。
互いに離れると、青年が一手早く動く。クナイを抜き様に放った。
ひし形のような通常のクナイとは違い、青年が扱うクナイは特別性。その刃は三股に別れており、柄には直接なんらかの術式が彫られている。
着地した少年が首を傾けてクナイを回避する。一瞬視線がずれた僅かな隙をつき、青年が音もなく背後に回りこんでいた。まるでコマ送りされる映像に突然割り込んだかのように、忽然と姿を現したのだ。
視界から消えた青年と背後の気配。考えるより先に体が動く。
少年は上体を前方に倒し、倒れ込む形で体勢を崩すと体を捻った。背後では先ほど放ったクナイを手にした青年がその背に突き刺そうとしている。
地面に片手をつきバランスを取りながら、少年は変則的な回し蹴りを放った。
「ぐっ……!」
片手で防ぐ。しかし、その細い足のどこにそのような力が宿っているのか、青年は風に吹かれる木の葉のように吹き飛ばされた。
一転二転と地面を転がりながらも体勢を整える青年。その明確な数秒の隙をつき、少年は次の一手を打って出た。
「影分身・同一分体の術!」
ドロンと煙とともに現れるのはもう一人の少年。一見変哲のない影分身の術だが、青年の警戒度は増して厳しい顔つきになった。
先手必勝と言わんばかりにクナイを三つ投擲する。一つは本体へ、一つは分身体へ、そしてもう一つは誰もいない方向へ放った。
分身体が一歩前に出る。それに呼応して本体の少年は一歩下がり地面にしゃがみこんだ。
そして――。
「八門遁甲、第六・景門――解ッ!」
パンッと胸の前で両手を合わせた分身体が気合いの雄叫びとともに、体内門を次々と開放していった。
堰き止めたダムの水が決壊したことで流れ出るかのように、その体を膨大な量のチャクラが流れる。そして、それは衝撃波となって体外へ放出された。
本体と分身体の元へ飛来するクナイをチャクラの衝撃波が弾き飛ばした。
「行くぞ父さん!」
体内門の生門も解放したことにより、全身が紅潮化した分身体が駆け出す。
その髪の色と相まって炎の化身のような姿の分身体はわずか一歩で彼我の距離を潰した。
「なっ……早すぎるっ!」
咄嗟に何もない方向へ放ったクナイの元へ跳ぶ。飛雷神の術による時空間移動だ。
しかし、跳んだ先にはすでに腕を振り
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