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Blue Rose
第二十話 小さくなる身体その十一

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「学校で観ました」
「学園の中の歌劇場でだね」
「そうしました」
「あの学園は歌劇場もあるからね」
「はい、そこで観ました」
「あそこは僕はあまり行かなかったけれど」
 岡島は過去を思い出しつつ優花に話した。
「それでもあそこで観ることもね」
「いいことですよね」
「うん、それで観たんだね」
「そうしました」
 実際にというのだ。
「そうしました」
「それは何よりだね」
「プッチーニの他の作品は観てないですけれど」
「機会があれば聴くなりしてもいいよ」
「観てもですね」
「うん、いいよ」 
 どちらもというのだ。
「そうしてね」
「それじゃあ」
「歌劇もいいからね、ただあそこの歌劇場は原語主義なんだよね」
「日本語では上演しないですね」
「歌舞伎とかはそうするけれどね」
 だが歌劇はというのだ。
「歌劇はその国の言葉で歌うんだよね」
「イタリア語やドイツ語で」
「蝶々夫人はイタリア語だったね」
「はい、聴いていて音楽はよかったと思いましたけれど」
 それでもとだ、優花は岡島に話した。
「何を言ってるのかわかりませんでした」
「そうなるよね、どうしても」
「そうでした」
「そうだね、けれどね」
「それでもですか」
「ここはねそうした場所でもあるんだよ」
 優花にあらためて話した。
「歌劇の舞台でもあるんだ」
「商人のグラバーさんが志士の人達と色々お話をしただけじゃなくて」
「そうした場所でもあるんだよ」
「そうですよね」
「だからね」 
 ここでだ、岡島は。
 後ろを振り向いた、するとだった。
 そこに銅像があった、子供を連れた和服の日本女性だ。岡島はその女性の銅像を観ながら共に振り向いた優花に話した。
「この人もここにいるんだよ」
「三浦環さんですね」
「戦前のオペラ歌手でね」
「はじめての日本人のオペラ歌手でしたね」
「世界的なね」
「蝶々夫人を得意にしていたからですね」
「そう、ここにいるんだよ」
 そうだとだ、岡島は話した。
「魂がね」
「三浦さんの魂ですか」
「僕はそう思っているよ」
「蝶々さんだからですね」
「そう、蝶々さんは本当に多くの歌手が歌ってるけれど」
 それこそ初演の時からだ、プリマドンナオペラだけあり多くの歌手が歌っている。
「この人が特に有名かな」
「そんなに有名な歌手が歌ってるんですか」
「そうなんだ、ソプラノがメインの歌劇だからね」
「有名なソプラノ歌手がですね」
「これまで多く歌ってるんだ」
「そうなんですね」
「初演は大失敗だったらしいけれど」
 この失敗の理由は作品の出来の他の事情によるものだという、観客のマナーも悪くプッチーニはこの作品は名作になるとその初演の後でも自信を見せていた。
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