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レインボークラウン
第三百五十四話

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 ピエールとジュリエッタは考えれば考える程わからなくなった、それで梨花に対して直接聞くことにしたのだった。
「あの、それでなのですが」
「どうされるのですか?」
「申し訳ありませんがご主人様のお考えがわかりません」
「どういったものか」
「魔法を使われないで、です」
「梨奈様の変化の理由を調べられるのですか」
「黙って見ていることにするわ」
 梨奈自身をとだ、梨花は二匹に答えた。
「あの娘をね」
「と、いいますと」
「それは」
「だからあの娘を黙って見るの」 
 そうするというのだ。
「つまり観察ね」
「魔法を使わず」
「そうして」
「探偵にもならないわよ」
 梨花はそうしたこともしないと言った。
「言っておくけれどね」
「ううむ、見るだけでわかりますか」
「それだけで」
「果たして」
「魔法も使わず」
「探偵もされずに」
「わかるのでしょうか」
 ピエールとジュリエッタにはわからなかった、だが梨花はその二匹に微笑んでこう言ったのだった。
「魔女は見ることも大事って言われたわ」
「今田先生と今日子先生にですね」
「お二人が教えて下さったのですね」
「そう、だからね」
 先生達の教えを受けたからというのだ。
「私は今は見るわ」
「梨奈様を」
「そうされますか」
「それだけにするわ」
 こう二匹に答える。
「あくまでね」
「それでわかればいいですが」
「果たして」
「正直不安ですが」
「それだけで充分なのか」
「充分だと思うわ、というか」
 梨花は微笑んだまま二匹に言った。
「魔女が本当に見てわかるかをね」
「そのことを、ですか」
「実践されますか」
「そうしてみるわ」
 あえて、というのだ。 
 梨花は決めていた、妹の変化の理由を魔女の目で見てそのうえで見極めていこうとだ。それであえて魔法も他の術も使わないことにしたのだ。


第三百五十四話   完


                            2016・6・27
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