第十一幕 消えたボタンその十
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「どっちもブラジルにはいないんだよね」
「ブラジルにはいないの?」
「狐も狸もね」
「そうなんだ」
「特に狐はね」
この生きものはというのでした。
「恵梨香達の国には全部いるのにね」
「そうなんだ」
「ブラジルにだけいないんだ」
五人のそれぞれの祖国の中で、です。
「そうなんだよね」
「どうしてなの?」
「何か狐はあまり暑い場所にはいないらしくて」
「それでなんだ」
「ブラジルは暑いからね」
何といってもという口調で、です。カルロスは答えました。
「それでなんだ」
「狐はいないんだ」
「ブラジルにはね」
「恵梨香達の国にはいても」
「そう、皆の国にはいるんだ」
日本、アメリカ、中国、そしてロシアにはです。
「童話にも出るしね」
「ブラジルの童話では狐出ないんだ」
「動物園にしかいないよ」
それこそというのです。
「あそこにしかね」
「残念だね」
「ブラジルには色々な生きものがいるけれど」
それでもというのです。
「狐はいないんだ」
「そうなんだね、わかったよ」
「けれどオズの国には狐が普通にいるんだよね」
「うむ、狐の国もあってのう」
王様はとろのお寿司を食べています。
「あの国の王様はわしの友達じゃ」
「お二人は仲がよくてね」
王子は鯖のお寿司を食べつつ言います。
「よく一緒に揚げも食べてるよ」
「あそこの王様は無類の鶏肉好きじゃが」
狐だからこそ、というのです。
「それ以上に日本から来た揚げに病み付きにになっておるのじゃ」
「これだね」
ボタンはオズマが美味しそうに食べているお稲荷さんを見つつ王様に応えました、さっきはボタンも食べていました。
「お稲荷さんだね」
「左様、あとはきつねうどんじゃ」
「薄い揚げをおうどんに乗せた」
「あれも大好物なのじゃ」
「とにかく揚げが好きなんだ」
「この世で最高の食べものと言っておる」
そこまで好きだというのです。
「毎食食べておるぞ」
「本当に病み付きなんだね」
「揚げがあればとさえ言っておるぞ」
「僕も揚げはね」
「好きじゃな」
「けれどそこまではね」
「だから狐じゃからな」
それ故にというのです。
「そこまで好きなのじゃ」
「狐さんと揚げはなんだ」
「最早切っても切れないものになっている」
「じゃあお寿司も」
「殆ど稲荷寿司じゃ」
狐の王様が食べるお寿司はです。
「しかも王様だけでなくな」
「お国の人もだね」
「皆じゃ」
狐だからというのです。
「いつも食べておるのじゃ」
「成程ね」
「うむ、今度行ってみるか」
「行けたらね」
これがボタンの返事でした。
「その時はね」
「そうじゃな、君は何時何処に行くかわからん」
「だからね」
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