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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
種族の憂慮
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る。六種類の中からランダムで注がれる黄金色の色合いはハーブ
茶
(
ティー
)
だろう。
むくれるアリシャにソーサーを返しながら、ヒスイは静かに聞き役に徹する。
ハーブ茶を一口含んだアリシャは、同様に静かに雰囲気を一変させた。
そこに普段の陽気さ、無邪気さは欠片もない。
結構な付き合いだから分かる。今の彼女は紛れもなく妖精九種族中の、一種族の長なのだ。
「……ヒスイちゃん。再来週、
ドラグーン隊
(
ウチ
)
と合同演習する予定あったでショ」
「あぁ、選挙明けやからな。他ん領に政治的な不安定を意識させないためやろ?」
「うん、そう。選挙の時は、どうしても選挙戦のほうに意識が行って、領の運営自体が手薄になることが多いからネ。大したことはないんだケド、他の印象的には……ちょっと、ネ」
柳眉を力なく下げる彼女を見、ふむふむとヒスイは頷く。
「けどそれがどうしたんや?別に一般公開とかする訳やあらへん。言うてみれば、《裏》へのパフォーマンスっちゅー話でケリつけとったはずやで」
「うーん……それが、《裏》でも見せられないことになってて……」
「……どういうことや?」
目を細めるヒスイに対して、いよいよもって深刻さを増した顔でアリシャは口を開いた。
「ヒスイちゃん。
現在
(
いま
)
の
猫妖精
(
ケットシー
)
の戦力をどう思ってル?」
「あぁ?そりゃ安泰やろ。
竜騎士
(
ドラグーン
)
もいて、
狼騎士
(
あてら
)
もいる。例え
火妖精
(
トカゲ
)
どもが攻めてこようが、
風妖精
(
シルフ
)
の手ぇ借りひんでもいてこませるわ」
「それがダメだんダヨ」
ズ、と。
少女の矮躯が、一回り大きくなったような気がした。
種族の長としての責任。その重さを背負うに値するほどの重さを、その言葉は発していた。
領主の少女は言葉を重ねる。
「前々から、前兆はあったンダヨ」
ため込んだ何かを吐き出すように。
「過剰……。そう、過剰なんだヨ。今のウチが持つ戦力は。もともと与えられていた高い俊敏性能にスキルなしでも高補正のかかっている視力、そして唯一無二のテイムスキル特化」
それは何か、選挙などどうでもよさげな。それほどまで張りつめていた案件があったのだ、と言外に吐き出すように。
「ドラグーン隊だけならまだ良かった。だけどフェンリル隊はそうはいかない。限界まで溜めてた風船が破裂したみたいに、今のケットシーへの当たりは強いンダヨ」
「なッ……、あてらが悪い言うんか!?」
思わず語気も強く立ち上がるヒスイに手のひらを向け、アリシャはあくまでも淡々とした口調を崩さない。
「いや……いや、もちろん違うヨ。短期間で成し上がったフェンリルの皆の頑張りはぜーんぶ見てるし、ケットシーが言うほど
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