第105話
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空の至宝”にも通じるところがあっただろう。だが、”幻の至宝”は……高位の人格を与えられることで同じ過ちを起こさずに済んだ。
あくまで人を堕落させず、正しく導ける叡智と判断力………それをもって、人という存在を正しく導けるはずだったのだ。―――至宝そのものの”心”が限界に達しさえしなければ。
あらゆる人の性と業、あらゆる世界の不条理―――それを理解し導けるということは人と同じ”情”を持つという事だ。そして”幻の至宝”の”心”は次第に壊れ、病んでいった。このままだといずれ暴走し、守るべき人々を傷つけてしまう……そう悟った至宝は―――”悩んだ”末に一つの決断をした。
”自分”という存在の因果を解き、”この世から消滅させる”という道を。」
(お、おいおい………今の話を聞いた感じ、我輩やお前達がこの世界に転移してきた原因はまさかとは思うが……………)
(………………………恐らくそういう事でしょうね。(やっとわかったわ………”D∴G教団”の”D”の意味が……………つまり教団は”D((虚ろなる神)デミウルゴス)”の”G(グノーシス)(叡智))”を得ようとしていたのね…………………)
ツァイトの話を聞いていたギレゼルは信じられない表情をし、ルファディエルは重々しい様子を纏って黙り込んだ後呟き、そして目を細めて考え込み
「………そんな事が……でも、それじゃあ後に残された人々は………」
ロイドは溜息を吐いた後真剣な表情でツァイトに尋ねた。
「うむ―――至宝の消滅にひたすら惑い、嘆き、恐れた。そして、何故そうなったのか、至宝が何を思ってそうしたのかを省みることなく………失われた至宝と同等の存在を生み出すことに取り憑かれたのだ。
―――もちろん最初はただの手さぐりだっただろう。しかし700年に渡り、彼らは様々な知識を集めながら独自の技術を編み出していった。すなわち無から有を生み出すという”錬金術”という魔導技術を。
そして彼らは、この地で途方もなく遠大な計画を立てた。”教団”という傀儡を用意し、新たな至宝の”核”となる存在を委ねて育てさせること………そして『錬成』という概念を極限まで応用した巨大な”式”をこの地に用意すること………それが数百年前―――クロイス家の錬金術師達が始めた計画だったのだ。
それを資金的に可能にするため。彼らは『銀行家』という表の仮面を被りはじめることとなり………一方、”教団”の方は信仰対象として与えられた”核”を目覚めさせるべく轟き始めた。
そして500年の時が過ぎ――――今の状況へと至ったという訳だ。」
「………途方もない話だ
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