第三十四話 カトレアの家出
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い。
『ガウワウ!』
後ろに控えていた狼達が、歯をガチガチ鳴らして『喰え』と脅し、2人は涙を流しながらスープを飲み干した。
「わたしもいただくわ」
カトレアもスープ飲むと、ニコニコ顔が消えた。
「……余り美味しくないわ」
不味いからといって捨てるつもりは無い。眉毛を『八の字』にして、残ったスープを飲み干した。
カトレアの動物好きは有名だが、だからといって肉を一切食べない訳ではない。動物が好きだからこそ、食材になってくれた動植物に感謝して好き嫌いせずに何でも食べるのがカトレアのポリシーだった。
「ごめんなさい、余り美味しくなかったわね」
「まぁ、御嬢。気にせずに……」
「初めての料理なんでしょう? 次はがんばりましょう」
「ありがとう。がんばるわ」
その後、残ったスープを3人で平らげ。明日の日の出と共に出発しようと早めに床に就く事にした。
カトレアは護衛兼毛布代わりに狼達に包まって眠ることにした。
誘拐犯2人は交代で1人が火の番をして、もう1人が休む事になった。
……数時間経っただろうか。
誘拐犯Bが火の番をしていると、一行の頭上を何か『速いもの』が通過した。
「御嬢、起きて! 旦那も起きて!」
誘拐犯Bはカトレアに声を掛け。誘拐犯Aを蹴飛ばして無理やり起こした。
「なにかしら?」
のん気に呟き、カトレアは目を覚ました。傍らに居た狼たちは空に向けて唸っている。
『速いもの』はカトレア一行の上空を数回ほど旋回すると、カトレアの前に降り立った。
マンティコアに乗った仮面にピンクブロンドのメイジは仮面越しにカトレアをジッと見ていた。
一方、カトレアは仮面のメイジの正体に気付いたのか、驚いたように、
「お母様!」
と仮面の騎士に向かって叫んだ。
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