第5話 断罪
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口を塞がれているだけかとも思ったが。
クズ野郎が。
簡単に死ねると思うなよ。
あの親子の味わった億分の1でも、屈辱と恥辱を味わえ。
「次は左だな」
「やめてくれ!!謝る、謝るから!!」
男の言葉は無視し、宣言通り左腕を斬りおとす。
「シュトラーセ。もうその辺でいいだろう」
「そ、そうだ!もういいだろう!」
「貴様が言うな」
俺は再び脚に刀を突き刺すと、傷口をえぐるように刀を動かす。
男の絶叫が木霊する。
俺は無表情で、フラグ女は顔を歪めている。
「シュトラーセ、もういいだろう!」
「お前、何言ってんの」
「何?」
「あの男の妻と娘は無残に殺され、死してなお穢される。そんなことをした男を生かせと?」
「それは……」
そんなものは不条理だ。
世の中には、すべてにおいて優先順位が存在する。
クソみたいなことをした犯人と、クソみたいなことをやられた被害者。
どちらを優先するかは分かりきったことだろう。
「お前のその言葉は、自分が見てられないから言っているだけだ。被害者の怒りを考えろ」
「……」
「もっとも、俺はそんなことのためにやっているわけではない」
「じゃあ、何故だ」
「簡単だ。俺が、許せないからだ」
俺はナイフを引き抜くと、男の右目に突き刺した。
「ぐあああああああ!!!」
俺はナイフを刺したままにすると、刀を引き抜き松明の灯りによって出来ていた影に血を数滴垂らす。
「【影操】。形状、ManEater」
俺の呟きと同時に、男が座っていた床に巨大な2つの目が現れる。
「ひっ!!な、何だよ、これ!」
「恐怖して、死ね」
「た、助けてくれぇっ!頼む、頼むよぉーっ!!」
「食事の時間だ、ManEater」
俺の言葉で、巨大な2つの目が喜びを露わすかのように歪む。
男の真下に、今度は巨大な口が現れる。
人1人は簡単に飲み込めるほど大きく、口の中には鋭く尖った歯も見える。
「助けてくれぇーーーーっ!!!」
マンイーターの両目が喜悦に歪みつつ、口の中に入った男をゆっくり咀嚼する。
骨の砕ける音が響き渡り、肉を咀嚼する音。
フラグ女は手で口を抑えると、背を向けた。
確かに、それが普通の反応だろう。
だが、今の俺はどうだ。
気分の高揚こそしていないが、冷水を被ったかのように冷たくなっている。
頭の中もクリアで、かなり冷静だ。
犯罪者とはいえ、これほどまでに残酷な殺し方をするとは。
マンイーターは最後にゴクン、という飲み込んだ音を響かせるとその姿は消えた。
俺はマンイーターが消えたのを見届けると、再び奥の部屋へと向かう。
俺は
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