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約1つのラベルと心臓
第n+1話 煙の親離れ
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じゃねぇか」
 その他にも、有名人と思われる人達のサインや記念写真が一列に展開されていた。フードコートでそこまでスペースを割くのは日本では珍しい。
「……おい」
 その店であるものを見つけた夏雄は美都子を短く呼びつけた。
「あら、どうしょうぼうしょ?」
 美都子がととと近寄ってくる。
「普通の水、あるじゃねぇか」
「あれ?」
 夏雄が指差した方向を見た美都子は首を傾げた。
「私、近場で売ってないなんて一言でも言ったっけ?」
「じゃあ炭酸じゃなくてそれ買えよ!」
「えーやだよー」
 美都子は口をとがらせた。
「そもそもね、いい、夏雄君?」
 美都子が言葉をゆっくり切った。
「覆水を前にした人が出来るのは、謝りながら盆を舐めるか、謝らせながら床を舐めるしかないの」
「何が言いたいんだよ」
「うーん、どっちかっていうと、砂漠でラクダを舐めるって感じだけど、あれ?」
「……」
「ま、とにかく、でも私は気軽に頼ってもらっていいわ」
「いや頼れるかよ!」
「……」
 美都子はここで顎に手を当て思案げな表情になった。
「なんだよ?」
「これ結構大変な問題ね」
「何が?」
「成る程成る程。うーん、そうよね。夏雄君は常日頃から天使の羽みたいなの持っててもらわないと」
「いや何の話だよ」
「そうよ。備えあればうしい れいな(10代男性)。夏雄君が精霊みたいな存在だったら誰も彼もハッピーーホワイト土用のバレンタインって感じで覆水と正月の凧が同時に重力を無視して上がってくるのよ!」
「待て俺の話になってないか?」
「もし私に問題が無かったら全責任を夏雄君に押し付けるしか無いじゃない」
「いやまず仮定を疑


えよ」
 突然の自分の家にも、もう慣れてしまった。薬の入ったビニール袋は持ったままなので軽い火傷や煙による痛みもすぐ治るだろう。
 そしていつものように勉強机の上を確認するとアイスの棒といつもの付箋があった。
『事実の刑には準備万端がアリ PS.そのアイス当たりだよ』
「どうやって引き換えるんだよ?」
 今の夏雄には知るよしも無いが、そのアイスの棒は結局大晦日の大掃除の時に捨ててしまうのであった。
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