第n+1話 煙の親離れ
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かにも人を優しく運びそうな車が現れた。
簡単な検査と薬の処方で、病院からあっさり帰された夏雄を待っていたのも、飲み物を持った美都子だった。
「お疲れ。まさか家火葬に巻き込まれるなんてね」
「やかそう?ここじゃよくあることなのか?」
夏雄は美都子から渡された飲み物を一口含んで、喉への刺激に目を顰めた。
「お前、あのなぁ」
「ここで飲み物って言ったら大体炭酸よ。甘いか甘くないかはあるけど」
「……」
「私冗談は言うけど嘘と冗談はつかないわよ?」
「それが嘘で冗談じゃねぇか」
「そうとも言うともあにはからんや」
美都子の恐らく意志を持った歩みについて行きながら、夏雄は美都子の流言に軽くため息をついた。
「これは話題を変えましょ。ここの人はかなり火に強いのよ」
「火に?」
「故に火と思いっきり親しめているから、火への信仰が厚いのよ。さっき夏雄君が巻き込まれた家火葬だけど、あれは自分が引っ越す前の家を焼くことで家を弔っているの」
「ふぅーん。成る程な」
日本でも人が死ねば火葬する。ペットが死ねば土を掘って埋める。そんなものか。
「子供がじゃれあって簡易的な火炎放射器で火をかけあったりもするみたいね」
「それはよく分かんねぇ」
「あら?夏雄くんはやったこと無いの?」
「いや俺日本人だからな」
「ニホンザル?」
「てめぶん殴るぞ」
夏雄は手渡されたサイダーを仕方無くもう一口飲んだ。
「少年は皆どこの誰でも火に憧れ、テスト用紙を燃料にタバコと麻薬を吹かすものだと思っていたわ」
「んなわけねぇだろうが」
「変ねぇ。やっぱり最近のブームは非青年運転免許なのかしら」
「なんだよそれ」
「運転免許偽造して高校入りたてとかに自動車免許取るのよ」
「無理だろ」
「そこは何かを何かして何かするのよ。ほら、少年って憧れるでしょ?クラッカーとかビスケット」
「何かって何だよ」
「何かとは何かを見つけるのが青春ってものよ。……着いたわ。ここでまったりしましょ」
美都子について入ったそこは、デパートだった。
「3階にフードコートがあるの」
フードコート内は親子連れ等で賑わっていた。彼らの髪も肌も力強く真っ白だったが、関係の無いことだ。
「へー」
確かに見渡すと、心なしか刺激物が多い気がする。熱い物、辛い物、意外そうなラベルを貼られている甘い物。
「なんか食べる?奢るわよ?100円まで」
「子供の菓子か」
「ここなんかいいんじゃない?『石鍋激辛炒飯』。石焼ビビンバみたいなものね」
「俺は食わんぞ」
「じゃあこれなんてどう?『石鍋ソフトクリーム炒飯』」
「絶対合わねぇだろそれ」
「評判はいいわよ。前に『石鍋シュークリーム炒飯』食べたけどなんとか悪くはなかったし」
「ギリギリ
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