精神の奥底
59 不機嫌な空
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バル!ビジライザーだ!』
「どうしたの?」
『いいから。ビジライザーをかけてごらんなさい』
「…え?」
スバルはビジライザーをかけた。
すると周囲の世界は一変する。
あらゆる電波が視認できるようになり、電波体が喋る言葉までもトランサーを介せずに聞こえるようになる。
そんな代物を携帯しているスバルからすれば見慣れた光景であるはずだった。
しかし今歩いてきた道を見返すと、その光景はスバルを無慈悲に裏切った。
「!?….これは…」
自分たちがくぐってきた門、そして塀の部分に紫色の壁のようなものが立ち塞がっている。
何かのシールドのように見える。
スバルは嫌な予感に駆られ、ポケットからAQUOSを取り出した。
案の定、圏外になっている。
「シールドだ!」
『あぁ!間違いない』
「でも…ウォーロックが入る前に気づかないなんて…」
『外からじゃ分からないように二重三重に厚化粧してあったってことだ』
「ホントだ…圏外」
ルナもミソラも自分の端末を取り出すが、結果はスバルと同じだ。
『クッソ!入る前に何の電波も飛んでないのを疑うべきだったぜ!』
「でもシールドに向かって何かの電波が……」
『多分、このシールドを発生させてる装置が許可している電波だけがシールドを通れるんでしょう。あれは多分、携帯か何かの通信機』
「待って…電波が飛んでる?じゃあ、誰かいるってことじゃ…」
『数的には…ざっと20から25ってところかしら』
「…委員長、やっぱり戻った方が…」
『遅えよ。多分、奴さん、もう気づいてやがる』
「でも工事の業者さんかも」
「わざわざシールドを張るような工事って何よ?」
「…とりあえず入ってみよう。もし工事業者だったら、本を返しに来たって言えば笑い話で済む」
「もし違ったら?」
「…考えたくない」
スバルは一度、深呼吸をしてから音を極力立てないように、玄関のドアを開いて中に入った。
入ってすぐ右手には受付のカウンターがあり、「本日休館」の札が立てられていた。
「っ……」
スバルは心臓を握りつぶされそうなものを感じていた。
何かがいる、それはもう間違いない。
だが、何かがいる程度のプレッシャーではない。
近くにいるだけで、視界にすら入らずとも鬼気迫るものを発し、自分をここまで圧倒する何かがいるのだ。
ミソラとルナは既に顔色が真っ青だ。
今にも泣き出しそうな面構え、既にミソラはバラエティ番組には到底出せないような顔だ。
ルナもお嬢様が育ちが災いしてか、吐き気すら催している。
スバルだけが、この尋常でない恐怖に襲われてながらも、辛うじて冷静さを保っている。
その瞬間、ルナが悲鳴を上げた。
「キャァ!!!」
「委員長!?」
スバルはルナ
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