精神の奥底
59 不機嫌な空
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のか、バカにされてるのか分からねぇよ』
ミソラとルナ、そしてウォーロックとハープのやり取りにスバルは一度、ため息をつくと、スバルはトランサーを取り出し、地図を表示した。
現在はネットを含め、位置情報を参照することはできないため、先程出てきた地下との出入り口を目印に、そこから大まかな位置を推測する。
「そろそろか…」
『ゴメンなさいね、スバルくん。ウォーロックったら、相変わらず乱暴で』
「えっ、あぁ、いいよ。いつものことさ」
『ホントにスバルくんって大人よねぇ。見習って欲しいもんだわ』
「そういえば逆に聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
『えぇ』
「FM星のことなんだ。FM星では、地球でいう電車だったり、車だったりっていうものはあるの?」
『う〜ん、無いこともないんだけど、私たち電波体だから。ウェーブロードが地球でいう高速道路のように整備されていて、それを使って移動するっていう感じかしら』
「僕が変身した時と同じ」
『そうねぇ』
「じゃあ、僕らみたいに電車を使ったり、バスを使ったりっていうことは、逆に君たちからしたら、面倒ってこと?」
『ここのおバカさんはそう思ってるでしょうね。でも私は好きよ。情緒があって』
「情緒……」
不便であることをオブラートに包むような感じで言われたことに、不思議な劣等感を覚えてた。
しかしハープの方に悪意は無く、純粋にそれを情緒であると感じているもの事実だろう。
便利であればいいというわけではないということは分かっているが、それを楽しむ余裕が自分にはまだ備わっていない、まだ子供だとスバルはそちらの方に劣等感を感じていた。
『でもウェーブロードさえあれば、どこにでも行けるわけじゃないわ。地球でいうところのトンネルができる前の道、電波体が行き来できない場所もある。FM星の空は星中、どこでも繋がってるわけじゃない。だからウォーロックは地球の空、これは気に入ってるみたいよ。全ての世界が1つの空で繋がってる。障害もなく、自由に飛び回れるってね』
「そっか…じゃあ、家とか…そもそも建物ってあるの?」
『それはあるわ。移動法や体の構造、文化以外は比較的FM星と地球の大きな障害は無いと思うわ。言葉にしても、地球で使われる文法に近いものがあるから、私たちもニホン語に関してはすぐに習得できたわ』
「なるほどね…」
そんな時、ミソラはスバルに声を掛けた。
「スバルくん、アレじゃない?」
「…うん、アレだね」
横断歩道を隔てて、それはこちらを見つめていた。
塀に囲まれた洋館のような建物だ。
距離にして約50メートルといったところだろうか。
図書館だが、工事中で営業はしていない。
しかし“工事をしている”ようにも見えない。
「工事中の表札…聞いてたとおりだけど
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