ヘルズインフェルノ
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いで身体を好き勝手にいじられた身の上だ、同情もするし共感もした。ただ、フェイトではあんたを楽にしてやるのは無理らしい。悪いけど、代わりに私が終わらせるよ」
動けないリニスの頭上で、マキナは感情を見せず静かにPSG1の銃口を向ける。修道服を着ている事もあり、二人の構図は許しを請う死者に断罪を行う聖者のようでもあり、数日前のスカルフェイスとマキナの構図にも似ていた。
「アディオス、恨むなら自分か神様にしてよね」
そしてゆっくりと……マキナの指がトリガーにかかる。
「ッ! 駄目!!」
一発の銃声。それと……一つの金属音がほぼ同時に響く。
「…………………………………………………フェイト。それは何の真似?」
目の前に立ち塞がったフェイトに、眉をひそめてマキナは厳かに尋ねる。先程放たれた銃弾はリニスに当たる直前、何を思ったのかいきなり横入りしたフェイトがバルディッシュで弾いた。そのせいでアンデッド・リニスは動けないものの、まだ健在だった。
「はぁ……はぁ……! 駄目……! お願い……リニスを消さないで……!」
「血迷ったの、フェイト? アンデッドの浄化を邪魔するとか、裏切り疑惑を持たれてもおかしくないよ」
「(今こいつを倒さないと、後でどれだけ犠牲が出るかわからないんだぞ! それをわかっててやってんのか!?)」
「わかってる……! わかってるけど……リニスは私の家族なんだ! このまま倒さなければならないなんて認めたくない! きっと何か助ける方法があるはずだよ!」
「まだそんな甘い事を……今まで管理局の任務とかでアンデッドを浄化してきたくせに、家族のアンデッドを前にしたらいきなり方針転換して助けようとするとか、自分に都合良過ぎでしょ。大体、自分以外の人が同じ事を考えないとでも思ってたつもり?」
「え? それって……」
「知っての通り、普通のヒトはダークマターに耐性が無い。だから家族や親しい者がアンデッド化する状況は割と頻繁に起きている。そして目の前で化け物になった家族を、何の力も無いのに助けたいと思う人もたくさんいる。ま、結局はミイラ捕りがミイラになるだけなんだけど。でもさ、赤の他人なんて基本的にどうでもいいと思ってる私だって、そんな光景を何度も見たら流石に止めたいとも思うよ」
「だ、だったら今の私の気持ちだって、少しはわかるでしょ!?」
「ああ、そうだよ。わかるからこそ、さっさと浄化するべきだって言ってるんだ。下手に救おうとして、より辛い思いをしないようにね」
「……?」
何かを知っているらしいマキナの主張を、フェイトは訝しげに首を傾げる。そんな彼女によく見えるように、マキナはレックスの収納領域にしまってあった謎の注射器を一つ取り出した。
「それは?」
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