ヘルズインフェルノ
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ない! こんなはずじゃ……!!」
フェイトの泣き叫ぶ訴えを聞いたリニスは、なぜか今彼女の存在に気付いたように雄叫びを上げ、先程より大振りにクローを振るう形で返答した。力の入らない足取りでどうにか避けたフェイトだったが、逃げた先の周りが車の残骸に囲まれているせいで、位置的に避けるスペースが無くなってしまった。そして逃げ場のないフェイトへ一気に迫るリニスは左腕を伸ばし―――
―――ザシュッ。
「!!? え……な、なんで……!?」
フェイトの腕を掴んでバルディッシュを自らの身体に突き刺した。信じ難い光景にフェイトは頭の中が真っ白になる。
「ごめん……なさ、い……。わた……しの……せい、で……あなたに、こんな、おも、いを……!」
ザンバーから発するソル属性の光がリニスを浄化していき、彼女の体が徐々に崩壊していく。最後の瀬戸際になってようやく自我が戻ったリニスの言葉に、フェイトは泣き続けていた。意思疎通が出来るようになったのに、もう救えないという現実に、どうしても涙が止まらなかった。肩を震わせて泣いているフェイトに、身体の半分が既に消えたリニスの体がもたれかかり―――
「―――フェイト……ありがとう。立派に大きく、なりましたね……。最期に、会えて……良かった……」
「ッ!!!!」
その言葉を遺し、リニスは完全に浄化された。炎で周囲が赤く染まり、空が焼ける景色の中、灰となった彼女は天へと消え去って行った。死ぬに死ねなかった彼女に今この時、ようやく安息が訪れたのだった。
「り……リニス……! リニス………あぁ……!!」
天に迎えられた恩師の名を虚ろな目で呟きながら、フェイトは赤く染まった闇の空に手を伸ばす。救うと宣言した大事な家族が目の前で自害し、この世界から消滅してしまった。既にいないものを求める彼女の姿、そこには痛々しくも深い悲しみが漂っていた。そんなフェイトの頬を熱風が撫でると、彼女は駐車場の方に視線が吸い寄せられ……気付く。
まだ戦いは終わっていない、元凶はすぐ近くにいる。炎の中を目を凝らし、戦闘中のマキナ達の姿と、
『絶対兵士プログラム、実行開始』とモニターに書かれた端末を持つライマーの姿を見つける。
「クソッ、間に合わなかった!!」
「ふっはっはっは!! 勝負あったな! これで貴様達の抵抗もおしまいだ!!!」
勝利を確信したライマーが高笑いを上げ、マキナは横目でフェイトの動きに警戒する。しかし、いくら待ってもフェイトは操られた時の感覚に襲われず、様子が変わらない事にライマーとマキナも奇妙に思った。
「む? プログラムは既に起動しているはず……なぜ効果が現れん!?」
「どうやらバグが起きた……という訳でもないみたいだ」
「(ん? ちょっと待ってくれ、
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